本を速く読みたいなら、8割の情報を捨てよ(滝川 徹)

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資料・文章を速く読む人は自分と頭のデキが違う。そう思っている人も多いだろう。しかし彼・彼女らは、8割の情報を捨てることで速く読んでいる。

そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、資料を速く読む秘訣について、再構成してお届けします。

速読法のベースは「捨てる」こと

昔10万円をかけて、フォトリーディングという速読法を学んだことがある。速読法と聞くと眉唾ものだと思うかもしれない。しかし私はこの講座を受けてよかったと心から思っている。

当然、読書のスピードはアップした。しかしこの講座はそれ以上の気づきを私に与えてくれたのだ。それは、この速読法のベースとなっている「捨てる」ことの大切さだ。

これは私の理解になるが、フォトリーディングの本質は自分が本当に必要な情報が何なのか。そこに焦点を当てて、そこだけに集中して文章を読んでいくことだ。

たとえば本書を速読するとする。その場合、まず考えるのは自分がこの本から何の情報を得たいのか。絞って具体的に考えることだ。熟読して、本から全ての情報を手に入れようとしない。ここが大きなポイントとなる。

たとえば本書が提案するタスク管理法がどんな考え方で、どんなタスク管理ツールを使っているのかを知りたい。これを目的と据えたとする。その場合、第2章と3章をじっくり読めば足りる。第1章はもちろん、そのほかの章はパラパラと目を通し気になるところがあればそこだけをじっくり読む。フォトリーディングの場合、こうした読み方をするのだ。

「80対20の法則」を意識する

私にフォトリーディングを教えてくれた講師も、フォトリーディングが早く読めるのは重要な情報以外を捨てるからだと教えてくれた。重要なことだけに集中し、それ以外を思いきって捨てる。だからこそ速度が上がるというわけだ。

君は気づいたかもしれないが、これは80対20の法則(重要な2割が8割の成果につながるとする考え方)に通じるものだ。法則に則れば、本においても重要な情報は2割にすぎない。自分にとって必要な大切な2割がどこなのか。このことに意識を絞って読めば、本の2割を読むだけで8割理解することができるというわけだ。

本に限らず、仕事で書類を見るときもこの考え方は充分に使える。私は日々これを実践していて、そのおかげでほかの人よりずっと早い速度で書類を読むことができている。

書類だけではない。仕事のスピードは、情報を捨てることで早めることができるのだ。80対20の法則と合わせ、「捨てることの大切さ」を心に留めておいてほしい。

滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。 

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月22日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。