前回に引き続き、京都を散歩しています。京都に来るとつい寺社巡りをしてしまいますが、京都には貴重な洋風建築も多くあることを忘れてはいけません。
その代表的な建物が今回ご紹介する京都府庁旧本館。明治37年に建てられたれんが造りの洋館であり、昭和46年まで府庁本館として使用されており現在も一部が執務室として使われています。創建時の姿を現在もそのままとどめている貴重な官公庁建物であり、国の重要文化財に指定されています。左右対称の隙のない佇まいは行政庁として相応しい姿だと思います。
大理石の階段や手摺を上るだけで自分が上流階級になった気分になってしまいます。100%勘違いです。窓から注ぐ光さえ神々しい。
旧本館のメインの部屋となる正庁。ここでは大正天皇や昭和天皇の即位の礼の際に閣議が行われました。天井は施工の難しい折上小組格天井となっていて格式の高い空間であったことを伺わせます。
テラスに出ることはできませんでしたが、窓越しに欅並木を眺めます。こんなテラス越しに国民に向かってお手振りしたいですよね。この日は土曜日で正門が閉鎖されていたので撮れませんでしたが、平日は欅並木の方からこの旧正庁を眺めることができこれが絶景なのだそうです。
北側(裏手)の方に回って中に入ってみることにしましょう。
旧議場は明治38年から昭和44年まで府議会が行われてきました。平成26年から修復作業に入り平成28年よりこのような開設当初の姿に戻して公開されています。上につるされたシャンデリアはなかなか高価なものなのだそうで、レクサスが買えるくらいのお値段なのだとか。レクサスがぶら下がっているのを想像してしまいました。。。
先ほどの正庁もそうなのですが、この議場も催し物などの開催場所として一般に貸し出しが行われているそう。結婚式の前撮りのほか、コスプレーヤーさんの撮影スポットとしても人気なんだそうですよ!
最後に中庭に出てみます。旧正庁はロの字型になっていて建物に囲われた中にこのような中庭があります。中庭は桜の木々が植えられておりシーズンには多くの観光客で賑わいます。中央に植えられているのは「祇園しだれ桜」。市内の円山公園のしだれ桜の種から育てた木がここに植えられています。
中庭の西にあるのは容保(かたもり)桜と呼ばれるここにしかない桜。この場所はもとは尊王攘夷派の台頭による治安の悪化から京都を守るために設置した京都守護職の上屋敷があった場所ですが、当時その任に当たっていた会津藩主・松平容保の名をとって容保桜と命名されました。ヤマザクラと大島桜両方の性質を持ち合わせ、大ぶりの花をつけるのが特徴だそうです。
今回、わたしは旅色のメンバーさんに紹介されてここを訪ねましたが、京都にこんな素晴らしい洋館があるとは知りませんでした。
京都府庁旧正庁の近くには英国国教会の流れをくむ聖アグネス聖堂や、
大丸百貨店店主の下村氏の邸宅だった大丸ヴィラ(限られた日のみ公開)もあり、洋館めぐりも楽しいエリアです。
歩けば歩くほど魅力的な場所が発見される京都。ときには上級階級になった気持ちでレトロ感溢れる洋館を訪ね歩くのも楽しいかもしれません。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年5月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。