新神戸駅から徒歩3分!竹中大工道具館で都会の静寂を楽しむ。

神戸に来ました。久しぶりの新神戸駅。某鉄道系Youtuberが「新神戸駅は秘境駅」と言っていて他の人から「そんなことないだろ!」と一蹴されていましたが、この緑に包まれた光景を見ると秘境駅といっても過言ではないかもしれません。周りはホテルやビルだらけですけどね。

今回はイベント参加のために神戸入りしたのですが、イベントの開始まで少し時間があったので新神戸駅のすぐ近くにある博物館に行くことにしました。

それが「竹中大工道具館」。新神戸駅から徒歩3分の場所にあるのですがどこかの資産家の邸宅のような門構えが立派です。6年前の夏に一度来たことがあるのですが、博物館とはかけ離れた木造家屋の佇まいが好きで神戸に来たらもう一度来たいと思っていたのです。

門をくぐって博物館の本館に行く道では青もみじが出迎えてくれます。

竹中大工道具館は1984年、竹中工務店が神戸市中山手に設立した日本で唯一の大工道具の博物館です。2014年、旧本社のあったこの地に移転してリニューアル開業しました。約3万点の道具や模型などのほか、匠の技の動画資料などが展示されています。

工具というと男くさい印象がして女性に敬遠されがちですが、この博物館は中も木の香りが漂い自宅にいるかのような落ち着いた気分にさせてくれるとても居心地のいい空間で、女性にも人気です。工具は見ずともここでずっと座ってのんびり語らっていたい。そんな気持ちにさせられます。実際私も工具に関しては素人ですが、この空間がとても気に入って足を運んでいます。

講演会などにも使用される地上階のオープンスペース。屋根は船底天井。

とはいえ折角来たのですから、工具館の中も廻ってみましょう。吹き抜けに構えるのが原寸大の唐招提寺の柱。竹中工務店は同寺の平成の解体修理に携わってきました。

鉋(かんな)にのこぎり、鑿(のみ)に金槌。これだけならぶと圧巻です。のこぎり一つにしてもいろんな種類があるものです。

こんな鉋みたことない。ものすごい大きな板を削るんでしょうね。鉋屑でさえ薄い布地のようで美しい。

お酒の入った瓶を貫く矢。矢は継いだわけではありません。さて、どうやって作ったんでしょう。考えてみてください。

こちらは和の技術を結集した茶室の模型。日本独特の美しく機能的な建物の素材や造りを建物に上がって肌で感じ取ることができます。

職人が木に直接書いたメモ書きもリアルです。

精緻な組子細工は圧巻。

木の素材を学ぶコーナーも。木の性質は千差万別。建物の用途に合った素材を見出して適切な場所に使ってきました。気を選ぶのも職人の長年の経験がなせる業です。

鉋屑を取り出すと仄かな木の香り。その香りも千差万別です。

手洗いのサインも工具っぽくて、よき。

再び工具館の外に出てきました。新神戸駅から徒歩3分。本来であれば喧騒の地であろう場所にあるはずなのですがそんな騒々しさは全く感じられません。

廊下が緑の奥に吸い込まれていきそう。

工具館の奥には休憩施設としてもうひとつ建物があります。

休憩所は無料で使用することができます。神戸観光につかれたらここで石庭を見ながら一休みするのもいいでしょう。

都会の中にありながらオアシスのようにひっそりと佇み道具を通じて和の建築について造形を深めることのできる竹中大工工具館。すれば洋館めぐりに偏りがちな神戸観光ですが、ときには思い切り和を感じに来るのもいいと思います。ぜひ一度お越しください。

 


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年6月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。