「誠意」は言葉ではなく速さに現れる

黒坂岳央です。

「仕事でもプライベートでも”誠意”が大事」と言われる。この事自体は正しい。誠意がない人は信用を得られない。

問題は誠意の示し方を知らないと、自分は示しているつもりで相手はそう思わないということが起きてしまう。多くの場合、誠意は言葉で示すものと勘違いしている。だが、口でいくら良いことをいっても言うのは無料であり、誰もそんなものは信じない。

真に見られているのは「対応の速さ」である。

AscentXmedia/iStock

仕事で対応の遅さは致命的

「独立して仕事をする上で何が重要か?」と問われればいくつも答えがあるが、その一つが「自分のペースではなく、顧客や市場ニーズに合わせて速く対応すること」だと思っている。

よく言われることに「独立すれば自分のペースでゆったり仕事ができる。クライアントも自分のペースに合わせてくれる相手を選べば良い」とある。この事自体は間違ってはいない。しかし、緊急性や重要度の高いタスクの場合はこの限りではない。

たとえば筆者にはメディア関係の仕事の依頼が来ることがあるが、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など全てのケースで先方は急いでいる。時には「現在、東京から熊本に来ておりますので、今すぐ来社して収録させてもらいたい。帰りの飛行機の便も決まっている」と言われたこともある。

その日は誰とも会う予定はなかったので、ヒゲも伸びておりジャージ姿だった。取材OKを出して、急いで風呂に入って身ぎれいにして応じた。このように相手のペースに合わせないと得られない仕事もあるのだ。

また、自社サービスが停止してしまうような大トラブルの時は不眠不休で迅速な対応が望まれる。悠長に「営業時間外なのでまた明日」などといってはいられない。逐一、顧客に状況報告を行い、1秒でも速くサービスを再開するために全力を注ぐ必要がある。

市場は自分中心では動いていない。マーケットのペースに合わせて仕事をするべきであり、相手を重要視している姿勢を速さに現すべきなのだ。

待たせる人に需要はない

今はスピード社会であり、誰もが速さを求めている。言葉使いが多少完全でなくてもいいから、1秒でも速く対応してくれる相手を探す。ネット回線もデジタルガジェットもやたらと多機能であるよりも、速さこそが正義である。ビジネスコミュニケーションでもそれは同じだ。

もちろんすべての取引を光の速さで対応することはできない。どんなビジネスマンもたくさんの仕事をこなし、自分自身の生活もある。だから「待たされ感」を出さない工夫が必要だ。

納期を48時間でと言われたら、必ずそれより速く24時間以内に済ませる。時間がかかるものは「明日、回答をします」と短く一言送っておけば相手は気持ちよく待ってくれる。プライベート、Lineで既読スルーして、自分の都合がいいときにしか連絡をしない人は誰からもお知らせが来なくなるだろう。

口だけ「お客様第一主義で」という会社は多いが、顧客を長期放置するビジネスは生き残ることは難しいだろう。なぜなら代わりはいくらでも見つかる時代だ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。