アメリカ大統領選直接対決第1弾:近代米政治史でもまれに見る重大な失態

日本でインターコンチネンタルホテルなどを運営するIHGホテルズが「訪日客数増加の余地大きく、マイナー観光地に誘客」(ブルームバーグ))と述べています。スペイン8500万人、フランス1億人に比べて日本はまだまだだというのがその論拠。訪日客の初心者は東京から京都、大阪というゴールデンルートが主体ですが、何度も来るようになると日本人すら行かないようなところも「発掘」する傾向があります。観光客の分散化は経済効果もよりあるし、地方活性化から投資促進も期待できます。個人的には瀬戸内海、鳥羽、北アルプス、若狭湾あたりが面白い気がします。海のそばのほうが眺望も食事も良いですしね。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

市場は夏枯れの先取り?

日本で株式投資をされている方はどのような成果を上げているのでしょうか?私は1年ぐらい前に銀行株でも買っておけばよいと申し上げました。上げ幅は大きくありませんが、メガバンク株は着実に高値追いとなっており、目立たない中でかなり安定した投資先となったかと思います。日経平均のチャートは三角持ち合いから上に離脱しそうに見えます。私は下に行くかもしれないと述べたのですが、外したかもしれません。またグロース株の指標も回復基調にありますが、全体としては盛り上がりに欠ける、これが私の見立てです。

これで6月の相場が終わり、今年半分も終わりです。7-8月は夏休み相場になるのでいわゆる夏枯れが心配されるところです。日経平均は4-6月の四半期ベースでみて1.9%下落しています。日経新聞はこの下落を円安が原因としていますが、私はそうではなく政局不安と企業の不信感の重ね合わせで海外投資家から敬遠されたとみています。政局は自民党の問題もありますが、野党も大したことがなく安定した将来を見通せないことがあります。企業の不信感は自動車メーカーで相次いだ問題や未だ尾を引く小林製薬、更には株主総会で話題になった東洋証券の役員選任問題など経営への疑問を残してしまいました。また日本から世界を圧倒する技術やノウハウがほとんど聞かれなくなったこともあるでしょう。

次の日銀の定例会合は7月30-31日。これはFOMCも同じ日。時差の関係で日本が半日ほど先に発表となります。ポイントは国債の買い入れ減額の実施が発表されることがほぼ確実視されますが、一部からは利上げもあるのではないかとみられています。あとひと月あるのでそれまでに発表される指標次第ですが、もしも為替相場を意識するなら利上げのヒントぐらいまでは出すかもしれません。というのは財務省の為替管理官である神田財務官が7月下旬に異動発令で後任は三村淳氏に決まっています。神田氏が円安攻防で苦戦したのを踏まえ、日銀が新任にエールを送るのでしょうか?また、半日後のFOMCでアメリカが弱くなっている経済指標を受け、どのような姿勢を見せるのかが焦点となり、為替は思惑を含め、動きやすくなりそうです。

アメリカ大統領選直接対決第1弾

昨日のアメリカ大統領候補同士第1回目の討論会は既に多くのメディアが指摘しているように、バイデン氏の失策と言うよりも、「近代米政治史でもまれに見る重大な失態」(ブルームバーグ)と指摘されるほど大統領再選を想像するのが困難であるかのような結果となってしまいました。私も画像をずっと見ていたのですがバイデン氏が前回大統領になったときの戦いぶりに比べて明らかに衰えを見せたと思います。

例えば、両名がステージに入ってくる時、バイデン氏の歩き方はヨタヨタとおぼつかない状況、テレビ画面では両名の顔が左右に大きく映る構成になっていたのですが、トランプ氏がしゃべっている時、バイデン氏は口が少し開いた状態でした。これはご年配の方に見受けられる締まりのない顔に見え、答弁の内容よりも、見た目と迫力、さらに風邪をひいていたとはいうものの声がかすれ、声量も細く、勝負にならない討論会だったと思います。

私は年初の10大予想で、大統領選を勝ち抜くのは、トランプ氏でもバイデン氏でもないかも、と書いたのですが、もしも今回のバイデン氏の大失策により民主党が本腰を入れて代替の候補者を擁立させるのであれば、そちらの方が面白いと思います。現在思いつく民主党のバックアップ候補はハリス、ニューサム、プリッカー氏などでトランプ氏とは勝負になりそうにありません。夢のような話ですが、第三極で出馬するケネディ候補を民主党に引き戻すのがベストなのでしょう。ケネディ氏としては大統領になれるチャンスが大きくなるので話の持って行き方次第では不可能ではないでしょう。討論会の時もそうでしたが、トランプ氏は話術でも政策でも自分のペースに巻き込むことを得手としていますので氏を抑えて論陣を張れる候補が欲しいところです。

討論会のようす バイデン大統領インスタグラムより

選挙ウィーク

イランの大統領選挙が始まったところですが、今週はフランスと英国の総選挙も行われ、都知事選も終盤選になってきます。まず、イランですが、3名の候補者でうち2人が保守強硬派、1人が対話重視派です。国家指導者であるハーメネイ氏は強硬派をお好みだと思いますが、票割れの可能性があり、決選投票もあるかもしれません。フランスは第1回目投票が30日ですが、マクロン氏の所属する中道派は前回から変わらず支持率で3番目。トップはルペン氏の極右政党で極左政党が追う展開です。このあたりのもめ方はフランス革命当時からずっとあるもので同国の複雑な社会背景を映し出したものといえるでしょう。英国は労働党で決まりと断じてよいでしょう。都知事選はこれ以上話題にしません。

いずれにせよ、夏休みの入り口で大きな政権変更が一部で起きそうだという事実、特に欧州ではそれが最終的にウクライナ問題とイスラエルのガザ侵攻にどう影響するかが注目点となります。イスラエルについては停戦しそうでしないのは双方が挙げた手を下せない状態にあることが大きいと思います。ネタニヤフ首相は最近は矛先をイスラエル北部に変えつつあり、ヒズボラ対策が強まっています。この辺りはイランの大統領が誰になるかで大きく影響を受けるでしょう。ウクライナについては欧州主要国の発言力が極端に低下し、NATOの後ろ支えであるアメリカもトランプ氏が難題を突き付けています。ゼレンスキー氏の国内支持率も急落しています。

つまり選挙ウィークを過ぎると難局が待ち構えていた、だけどとりあえず夏休みだから見ぬふりをする、そんな構図を予想しています。このしわ寄せは9月にしっかり来るわけで私が以前から何度も繰り返し嫌な秋がやってくるというお膳立てが整いつつあるとも言えます。私は民主主義について改めて書籍を読み漁っているのですが、世界は今、誰が何を決めるのか不明瞭になっている気がします。民主主義の前提と期待が国民と政権指導者の間でずれていたり、戦争や兵力拡大による近隣国への脅しなど明らかに望まぬ方向に世界が向かっているように感じます。

後記
東京滞在後半戦がおわり、私も2週間の戦いの終盤戦となってきました。様々なビジネスをしている関係で東京にいても日替わりメニュー、時間替わりメニューの仕事をこなし続けていますが、今回改めて気がついたのが宅配の多さ。東京の業務関係で50万円分ぐらいの諸雑貨を購入したのですが、細かい注文が多くこの1週間で宅配は十数回。そのうちいくつかは本人確認を要するもので出先で宅配が来るのを本を読みながら待つ状態でした。中にはピンポンも押さず置き配、くそっと思い、玄関のドアを開けたままにしたら今度は入り口こっそり黙って置き配。宅配のお兄様方はご挨拶が苦手なのでしょうか?礼儀ぐらいちゃんとしてもらいたいところです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年6月29日の記事より転載させていただきました。