セミナー集客の鍵は講師の実績よりも「企画」(滝川 徹)

Chatchai Limjareon/iStock

セミナーで思うように集客できない時、自分の実績のなさを嘆く人も多いだろう。しかし実は、集客に実績はあまり関係ない。

そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、集客に困らない講座の作り方について、再構成してお届けします。

講師の実績は実はそれほど重要ではない

長年セミナー講師をやってきて感じるのは、セミナーの集客は企画で決まるということです。

おそらくほとんどの人はそうではなく、「自分がすごい人になったら人が集まる」──つまり、集客のために一番大切なのは講師の実績、そう考えているのではないでしょうか。

たしかに実績があったほうが人が集まりやすい。これは事実です。しかし実績さえあれば人が集まるわけではありません。その理由を説明していきましょう。

まず、すごい人・実績がある人というのは世の中にごまんといます。しかも今は無料のものも含めて、セミナーが溢れるほど世の中で開催されています。競争が激しいのです。こうした環境の中、たとえ皆さんが著者として本を出していても、その実績だけで人が集まることはありません。

私はこのことを自身の体験から確信しています。自分よりもはるかに実績がある人やベストセラー作家とコラボセミナーを開催したことが何度もあります。それでも集客できたのはたったの2人というケースも決して珍しくないのです。

一方で私のように、実績がそれほどでもなくても集客に困らない──そんな講師も世の中にはたくさんいます。講師の実績=集客力ではない。まずこのことを理解することが大切です。

では何が集客に差をもたらすのかというと、企画の差です。たくさんの人に見られるコンテンツを作るためにはおもしろいと感じてもらえることが必要で、そのためには切り口が大切です。同様に、セミナーもおもしろそうと感じてもらえる企画の切り口を考える必要があります。

競争相手がいなければ集客は簡単になる

たとえば私の場合、セミナー講師をはじめたばかりの頃は「残業ゼロの会社員」という肩書きで活動していました。ラッキーなことに、当時はまだ働き方改革が浸透する前で、長時間労働が珍しくない時期でした。今ではそう珍しくないかもしれませんが、当時は残業ゼロを実践している会社員というのはかなり少なかったと思います。

そのうえ、タスク管理や仕事術を教えている人物となればさらに少ない状況でした。「残業ゼロを実践する会社員が教えるタスク管理」──これが私のセミナーの切り口・企画だったわけですが、当時この企画でセミナーを開催している人は私が知る限り存在しませんでした。

その結果、私の有料セミナーデビューはありがたいことに満席となりました。その後も少人数制のセミナーを開催していきましたが、集客に困ることはありませんでした。

私のデビューがうまくいったのは企画以外にもさまざまな要素があったのは間違いありません。ただ、他のセミナーにはない切り口・企画でセミナーを開催することの大切さは、わかっていただけるのではないでしょうか。

当時、タスク管理のセミナー自体は珍しくありませんでした。私の師匠である大橋悦夫さんをはじめ、フリーランスの方で教えている人は何人かいたわけです。

しかし残業ゼロを実践している現役会社員でタスク管理を教えている人となると、おそらく私だけだったと思います。当時の私は競争相手がいなかった。だから集客に困らなかったのです。

この「競争相手がいない」というのが集客の一番の秘訣なんですね。なのでセミナーの企画を考える時は、皆さんのセミナーが他のセミナーとどう違うのか。この点を深掘りして表現することが大切です。そのために次の質問を自分にしてみてください。

・皆さんの(他の講師と異なる)ユニークな点はどこですか?
・他のセミナーでやってないこと・テーマで教えられることはありますか?

これらの質問に対する答えに着目して企画を考える。これが集客ができるセミナーを作るはじめの一歩です。

自分のテーマと今旬なテーマをかけあわせる

もう一つ、企画について大切なことがあります。それは今旬なテーマを選ぶことです。例を使って説明しましょう。以前ある人と一緒にコラボセミナーを開催しました。その方の実績も十分でしたが、残念ながら集客できた人数は2人でした。

その後、その方がChatGPTの活用法をテーマにセミナーを単独で開きました。そうしたところ、10名以上参加者を獲得していたのです。このように、旬なテーマ・今多くの人が関心のあるテーマを切り口にセミナーを開催すると、集客がしやすいのです。

この前後2つのセミナーで言えば、講師の実績は私が加わっていること以外、何も変わっていません。にもかかわらず、集客できた人数に大きな差が生まれたのはなぜか。企画の差以外に考えられないわけです。

本書執筆時点でもそうですが、ChatGPTの活用法については多くの人が興味がある。だから集客できた。とてもシンプルですよね。このように、「世の中の人が今関心をもっていること、流行っていることをテーマに自分が何か教えられることがないか考えてみる」のが大切です。

これができればより簡単に集客ができるようになります。たとえば私の場合、ChatGPT を使ったタスク管理法というテーマでセミナーを開催すればかなり簡単に集客ができるでしょう。これは1つの例ですが、自分のもってるテーマと今旬なテーマをかけあわせることができれば二重丸なわけです。

今旬なテーマで自分が他人よりも一歩進んでいるものは何か?

この時のポイントは、自分が他人よりも「一歩」先に進んでいればいいということです。私の場合、ChatGPT にめちゃめちゃくわしいわけではありません。他の人より一歩進んでいるくらいです。

それでも、ChatGPTを全く使ったことがない人に教えることはできるわけです。むしろ、一歩進んでいるくらいのほうが全く使ったことがない人の気持ちがわかる。だからこそ、めちゃめちゃくわしい人よりうまく教えられるかもしれません。

逆に言うと、今旬なテーマに皆さんが興味をもっている場合。自ら学んで、人より一歩先に進む。そのうえで人に教える。こうした手順を踏むと、今旬なテーマでセミナーを開催できるというわけですね。

ぜひこの手法を活用してセミナーの企画を作ってみてほしいと思います。

滝川 徹(時短コンサルタント)
1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年6月19日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。