ドミニクの極上ニース料理楽しんだ後は、「ニース ボザール美術館」へ。
ニース&近郊は、だーいすきな美術館が多々ある。ので、ニース滞在のたびに全部は行けず、どうしても数年おきになっちゃう。ボザールも、なんと5年ぶり。コヴィッド時期の3年ニースに来てなかったので、間隔空いちゃった美術館多い。
まずは、この美術館に住んでるみかん猫をなでよう♪と思ったら、見当たらない。聞けば、コヴィッドの閉鎖中にもらわれていってしまったそう。残念、抱っこさせてくれるかわいいみかん猫だった・・。
ここは、古き良き時代のポスターの巨匠ジュール・シェレ&フォーヴの大家ラウール・デュフィの充実コレクションが有名。どちらも、特にデュフィ大好物♪
なのだけれど、開催中の企画展に場所譲って、デュフィのコレクションは引っこんでる。でも、企画展が素晴らしいので問題なし!
”芸術のために生きる、ニースのトラシェル&ロッチルドコレクション“展。
エルキュール、アントワーヌ、ドミニクのトラシェル3兄弟は、19世紀後半ニースで活躍した画家であり社交界の花形。当時ニースに滞在していた多くの英国富裕層のために絵を描いたり内装装飾も手掛けてた。特に兄様エルキュールが有名。ここやマセナ美術館に飾られているのをぼーっと観たことはあるけど、しっかり鑑賞するの、初めて。
たくさんをよーく観ると、すごくお上手!特に風景画、細部の精密度や白のハイライト的使い方が絶妙。ヴァトーの洗練に通じるし、輪郭ぼんやりさせたらターナーに近いものも感じる。油彩はもちろん、水彩がとっても好み。
二人の弟も兄様に負けず劣らず上手で、才気溢れる3兄弟を囲んで、ニースの社交界は賑わっていたのでしょうね。
そんな兄弟、とくにエルキュールと仲良しだったのが、ナサニエル&シャルロット・ド・ロッチルド夫妻(ナサニエルは英国系なので、ロスチャイルド、か)。ロンドンで知り合い、エルキュールはシャルロットの絵の先生も務め、ヨーロッパ中を一緒に旅した。(ちなみに、ナサニエルは、シャトー・ムートン・ロッチルドの創始者)なので、この企画展では、シャルロット作の絵画も展示。悪くない。
さらに、この2つのお金持ちファミリーのアートコレクション(古代から近代まで)も勢揃い。ボザールの建物自体が彼らが生きた時代の壮麗な邸宅なので、きっとトラシェル家もロッチルド家もこんな感じで装飾されてたのでしょう、と感じられ、企画内容と空間がぴったりマッチしてて、とても気持ちよく観られる。
思いがけずよい企画展に遭遇し、エルキュール・トラシェルの魅力にはまる。
驚いたというか考えてみれば納得というか胸が傷んだのは、52歳で亡くなったトラシェルの死因。普仏戦争とパリコミューンで荒廃したパリの様子に茫然自失し、病気になり、亡くなったそう。美を愛し、美と共に、美のために生きた彼には、醜悪な世界が耐えられなかったのでしょうね。
さらに、”印象派誕生150年”イベントの一環で、オルセー美術館から、モネがリヴィエラで描いた作品が遊びに来てる。広めのお部屋に一点のみ展示。厚遇されてる~。
みかん猫に会えず残念だけれど、19世紀後半のブルジョワ系アートを大満喫。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。