副業講師で月10万稼ぐ私が、準備に30分以上かけない理由とその方法(滝川 徹)

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セミナーを開催したいが、スライド作りをはじめ準備がめんどう。そう感じる人も多いだろう。しかし実は、セミナーの準備は30分もかければ十分。

そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、セミナーの準備を30分で終える方法について、再構成してお届けします。

スライド作成は30分以内でOK

私が一番伝えたいこと。それはとにかく、セミナーの準備に時間をかけるのはやめようということです。

代表例は当日の資料・スライド作りです。セミナーをやるとなると、当日受講者に見せるスライドを作らないといけない。そう考える人がほとんどだと思います。昔の私もそうでした。

私自身は結論から言うと、スライドを作る時間をほぼゼロにしました。対面でのセミナーの場合は基本的にスライドを作りません。オンラインの場合は作る時もあります。それでも、スライド作りにかける時間は基本的に30分を超えないようにしています。

なぜそんなに準備に時間をかけないのか。一体どうやっているのか。一つずつ説明していきましょう。

継続してセミナーを行うために準備は最小限にする

そもそもなぜ準備に時間をかけないようにしているのか。理由はシンプルです。そうしないとセミナーを継続していけないからです。

この記事の読者は副業としてセミナー講師をやりたい人を想定しています。ということは皆さん、本業がある中で、セミナーの準備に限られた時間しか割けないわけです。そんな中、一つのセミナーをやるたびにスライド作りに3時間も4時間もかけていたら、時間がいくらあっても足りません。

これだとしんどくなってとても続けられないというわけです。どんなスキルもそうですが、セミナーも場数を踏めば踏むほどスキルが高まります。逆に言えば、継続して開催していかなければ講師としてのスキルも上がりません。毎回準備にすごい時間をかけていると、それが心理的負担になってしまい、継続して開催していくことがむずかしくなってしまいます。

私自身もセミナー講師をはじめた当初、この壁にぶち当たりました。はじめからスライドを作ってなかったわけではないのです。それまで私自身が受けてきたセミナーでは、講師側が立派なスライドを毎回作成していました。

なので「セミナーとは、スライドを講師が用意して話すもの」だと思い込むようになっていたんですね。だから自分もセミナーをやる時はスライドを作っていたわけです。

しかしいざ自分が講師をはじめると、すぐにその大変さを実感するようになりました。私の場合、当時残業ゼロだったとはいえ会社員。そのうえ、毎日ブログを書いたり情報発信に時間を費やしていました。セミナーの告知文も書いて、さらにスライドに時間をかけるのは正直しんどい。そう感じていました。

スライドがなくても話は十分伝わる

そんな中、私が今のスタイルに変わったきっかけは心理カウンセラーの心屋仁之助さんのセミナーの様子を映像で見た時でした。

心屋さんは大勢の人の前で話をしていたのに、スライドを作ってなかったんですね。手元におそらく何を話すか忘れないように、紙だけもって話をしてたんです。時折ホワイトボードを活用して説明する。そんなスタイルで話をしていました。

心屋さんの話は、スライドがないからといってわかりづらいといった不便は全くなく、それどころかとてもわかりやすかったのです。自分が受講者という立場で、スライドがないセミナーで問題ないと感じるなら、自分がやるセミナーでも、スライドなしで問題ないはず。このことに気がついたんですね。

それから私自身はスライドを作らない、今のスタイルに落ち着きました。対面のセミナーの際はホワイトボードがある会場を使い、スライドは使わずトークのみです。必要に応じてホワイトボードを使う──こうしたスタイルでセミナーを行うようになったのです。これでセミナーの準備にかける時間は激減。講師の仕事を苦なく続けていけるようになりました。

ただ、もちろん何も準備しないわけではありません。何を話すか忘れないように、当日話をする内容を書き出したメモは用意します。以下の図はこれを抜粋したものです。

事前に用意するメモは、この程度で十分なのです。だから準備に30分はかからないというわけです。

伝われば目的達成 ━━ 誰でもメモだけで話せる理由

メモさえしておけば誰でも話せる。私がそうお伝えする理由は、皆さんがセミナーで話をする内容は、皆さんが得意なこと、好きなことを話すからです。

皆さんが好きなこと、たとえば好きなゲームやアイドルについて話をしてくださいと言われたら、ほとんどの人は何も見ずにペラペラと話すことができるのではないでしょうか。それはそのことが得意であり好きだから、苦なく自信をもって話せるからです。皆さん自身のことについて話してくださいと言われた場合も同じですね。自分のことなら、メモなど見ずにいくらでも話すことができるはずです。

もちろん、事前に準備をしていなければ、多少回りくどい説明をしてしまう時もあるでしょう。しかしそれでもいいのです。セミナーで説明するとなると、理路整然と話さないといけない。言い間違いをしてはいけない。そんなふうに思い込んでいる人も多いように思います。しかしそう思うからこそ、メモだけだと話せなくなるのです。

セミナーの目的は、自分が伝えたいことが受講者に伝わることです。つまり、伝われば目的達成なのです。たとえば友達と喫茶店で話をしていて「この表現だと伝わらないかな」と感じたら補足したりしますよね。セミナーもそれでいいのです。

完璧な順番で、一文字も言い間違いをしないように話そう。そんなふうに思えば、原稿を棒読みするしかなくなります。でもそんなセミナー、皆さんが受講者だったら受けたいと思いますか? 少なくとも私なら、セミナーではなくその人のブログや本を読めば十分と感じてしまいます。

セミナーの価値は、その場で味わえるライブ感にあるのではないでしょうか? それなら完璧に話すより、多少言い間違いや回りくどい表現があったとしても、まるで友達としゃべっているような感覚で話したほうが、受講者は嬉しかったりするのです。

「話す順番」と「構成」がカギ

一方、受講者に伝わりやすい順番や構成で話すことは大切です。だからこそ、私は話の構成や話す順番については、事前に準備をします。しかし大枠さえ押さえておけば、細かい表現や言い間違いは誤差の範囲です。そこまで神経質になる必要はありません。

試しに自分が好きな人が講演をしている姿を見てみてください。その人は一字一句間違えずに話をしていますか? 「あー」「えー」などと言っていませんか? 粗を探そうと思えば、どんなすごい人でもこうしたことを指摘できます。

でも、聞いている時はそんなこと気にしないですよね。「あ、この人、今言い間違えた」とは思っても、それだけでその人の価値が下がるわけではありませんよね。他人は皆さんが気にしてるほど気にしてないのです。

滝川 徹(時短コンサルタント)
1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年6月21日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。