川重と自衛官の癒着なぜ生まれた 裏金十数億円から商品券や飲食代
潜水艦の建造メーカーから乗組員の自衛官らに、商品券などの多額の金品が渡っていた疑惑が発覚した。
川崎重工業は3日、朝日新聞の取材に応じ、大阪国税局が指摘した裏金作りなどについて説明した。
広報担当者によると、潜水艦の施工に必要な資材を供給する下請け会社と川重の間で架空取引が行われ、捻出された資金は2018~23年の会計年度で十数億円に上る。その資金で購入された金品や物品は「商品券やトルクレンチ、ワイヤロープ、ヘッドライト」などと説明。乗組員らとの飲食にも使われたという。
潜水艦の修理の際、乗組員らが神戸市内にある川重の宿泊施設「海友館」などに滞在しながら同社の社員と共同で作業するため、広報担当者は「そういう習慣がエスカレートしたのではないかとみている」と話した。
川重は同日、「有価証券報告書に記載の税務調査における指摘事項について」とする報告をウェブサイトで公表。それによると、神戸工場の修繕部と取引先企業による架空取引で捻出した資金を使った金品、物品の購入や飲食があり、川重の従業員や海上自衛隊の潜水艦乗組員が関与した疑いがあるとしている。
昔から川重のほうが三菱重工が乗員に対するこういう対応は良かったという話です。
一方、防衛省では同日夕、担当者らが報道陣に説明を行った。自衛隊員倫理法違反の疑いで海上自衛隊の潜水艦乗組員の本格的な調査を実施する――。そう明らかにしたものの、詳細については「控える」「わからない」と繰り返した。
いつものだんまりですよ。記者クラブも本気で追求するつもりもないでしょう。
だったら税務署に聞きに行けばいいんですよ。
倫理法違反に該当する事実が認められれば、戒告から免職までの懲戒処分を検討するとしているが、自衛隊内の調査の対象や範囲については「控える」、調査期間は「ボリュームにより定かではない」とした。規定違反の疑いのある隊員の「規模感」も「わかっていない」という。
これの意味するところは、防衛省の原価計算なんてザルだということですよ。
ぼくは昔、重工労連に取材したことがあるのですが、原価計算の各段階で鉛筆舐めて水増しするわけです。それを併せれば結構な額が上乗せされるわけです。
ですから利益率が8%というの嘘で、実際はもっと高い。しかもトリッパグレ無しでですから、利益的にきついというわけではないでしょう。
それを防衛省は13%に増やすというのですから、濡れ手に粟でしょう。裏金や接待、天下りを受けれれば、仕事は増えます。使わない魚雷発射装置やソナーをDDHに搭載したりすれば、売上の嵩上げもできるます。そして実際にしております。
しかも潜水艦の場合、重工2社で競合はありません。設計も実際には共同でやっていますし、2社でやる必要がない。であれば事業統合すべきです。そうすれば管理部門なども合理化できます。
2社が存在する必要はない。2社のどちらかに事業を統合するか、あるいは2社で特別会社を作って株式を公開すべきです。
それは実は簡単です。今回の不祥事を理由に川重に潜水艦を防衛省が発注しないと決めればいいだけの話です。そうすれば事業を統合するしかない。
木原防衛大臣は事業統合は民間に任せると会見で仰りましたが、それは当事者意識の欠如じゃないですか?
事業規模が小さく、輸出もしないので低性能、低品質、高コストの装備品に唯々諾々と税金をばらまくのが防衛省のしごとでしょうか?
不効率な事業を放置して「利益だけばらまきます」では、国防は全うできません。
【本日の市ヶ谷の噂】
防衛医科大の入学定員は80~85名、同校の医師国家試験の合格者は70程度。すでに医官配置計画は成り立たず、部隊衛生に支障をきたしている、との噂。
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Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
- 「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
- 新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
- 日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
- 次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
- 次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1 駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年7月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。