両陛下の訪英:皇后陛下は仕方ないが陛下の日程に課題

DIAMOND Onlineに『両陛下訪英は成功したものの…「冷や汗もの」の舞台裏【昭和・平成の国賓訪問と比較】』という記事を書いた。

2024-07-天皇皇后両陛下とチャールズ国王ご夫妻 英王室インスタグラムより (1)

両陛下は、とくに大事もなく無事帰国されたのであるが、すでに、『両陛下の訪英のあまりにも寂しい日程に疑問』で危惧していた以上に、中身の薄い御訪問で、どうして、国王とキャサリン妃のがん治療中、英国の総選挙中、そして皇后陛下の御不調は続く中で強行したのか理解に苦しむ。

両陛下の訪英のあまりにも寂しい日程に疑問
天皇皇后両陛下が国賓訪問のために、昨日の午後、ロンドンにお着きなった。本来なら、東西世界を代表する天皇と国王の出会いであって、素晴らしく華やかな行事になるはずだが、実態は、なんのためにこんな時期なのか首をかしげざるをえない。 ...

「国賓訪問」のかたちで両陛下が訪英されるのはよほどのことがない限り今回一回切りである。それなら、英国民や世界に対してアピール力が最大限に発揮できる時を選ぶべきものだ。

DIAMOND Onlineの記事では、昭和天皇の1971年(4日間)、上皇陛下の1998年(5日間)と今回の日程(7日間)を整理して比べやすいように紹介しているが、期間は今回のが長いが内容はかえって少ない。

象徴的なのが、前二回のときは、食事はほとんどが友好親善を深めるためのものに当てられていたが、今回は12回のうち、両陛下そろってご出席は3回、このほかに陛下単独が1回あるが、あと8回は両陛下など内輪でのもので前代未聞だ。

天皇陛下とチャールズ国王 英王室インスタグラムより

皇后陛下のご体調からして、普通の日程は無理なのはしかたない。しかし、両陛下が国王夫妻にお別れの挨拶をされたあと「となりのトトロ」観劇をされて、そのあと陛下のみエリザベス女王夫妻の墓参をされ、その次の日のオックスフォード大学ご訪問はかなりハードスケジュールの日程だったのは、不自然にみえる。

しかし、それより問題なのは、公務としての食事の回数にみられるように、陛下の御日程の中身の薄さである。それは前二回の先例と比べてだけでなく、習近平主席や尹錫悦大統領国賓訪問と比べてもそうなのだ。

皇后陛下が通常の日程をこなすのが無理なら、国内や近隣国であれば、最低限の行事だけを陛下とご一緒された後、先に皇后陛下は帰られて陛下は残られて通常の予定をこなされるような工夫がされるべきで、陛下も皇后さまと同じようなペースで長い滞在期間をこれといった予定もないまま滞在されるというのは異例だ。

雅子皇后とカミラ王妃 英王室インスタグラムより

国賓訪問は、国王夫妻との友情を確認するだけでなく、政治家や各界の人々との交流も大事だし、王室でも陛下の年齢が国王とウィリアム皇太子の中間であることを考えれば、皇太子夫妻との交流も大事だ。

しかし、選挙中だったので、国王の晩餐会に首相は陪席したが、恒例の首相主催の午餐会はないなど政治家との交流はほぼゼロだった。キャサリン妃は前週には国王誕生日の諸行事に、二週間後にはウィンブルドン決勝に元気に出席していたが、両陛下を迎えての行事はすべて欠席された。

ウィンブルドンでのキャサリン妃 同妃インスタグラムより

やはり、少なくとも選挙となった時点で、延期するべきだったし、キャサリン妃も出席してもらえる時期を選んで欲しかった。日本人としてもキャサリン妃と両陛下の出会いをとても楽しみにしていたのだから。

天皇皇后両陛下とチャールズ国王ご夫妻 英王室インスタグラムより