高松に来ました。10年ぶりの高松駅ですが、相変わらずにっこりスマイルな「たかまつえきちゃん」が出迎えてくれます。
高松にきたらやりたいことはただ一つ「うどんめぐり」。残念ながら大食漢ではないのでそこまで多くの店を回ることはできませんが、高松地区を走る高松琴平電鉄(通称ことでん)の旅を楽しみながら、うどんを食べに出かけたいと思います。
日曜朝しか食べられない「神社のうどん」を食す。
JR高松駅からほど近いところにある玉藻公園の脇にある高松築港駅からことでんの旅はスタート。7月上旬というのに朝からとにかく暑いです。
22分ほどで着いたのは一宮駅。その名の通り、讃岐国の一宮、田村神社の最寄り駅です。
歩いて10分ほどで田村神社に到着します。一宮にふさわしい立派な鳥居です。朝8時前なんですが、ちらほら地元の方が参拝しています。
こちらの神社、摂社もなかなか立派で一宮天満宮は田村神社の本宮さながらの規模を持ちます。その脇には千本鳥居もあり、八咫烏などのオブジェも多くてさながら神社のデパートのようです。
そんな神社の傍らに、うどんを食べられる場所があります。1杯200円。日曜の午前中しか営業していない神社内のうどん店です。今日は7月7日、日曜日。晴れて営業中です。
受付で食券を買ってカウンターに行くと、小ぶりの丼に盛られたうどんを渡されます。イリコだしの風味漂うつゆでいただきます。麺も不ぞろいで讃岐うどんらしいコシの強さもない茹で置きの麵ですが、素朴な感じがいい。神社でうどんが食べられるだけで香川に来たということを実感させてくれます。
簡素な造りの店内ですが、中は地元の人たちで賑やか。店員も客もみんな知り合い。近所の常連さんたちが寄り合う姿が窺えました。
讃岐うどん発祥の地、綾川町へ
神社うどんで軽く腹ごしらえをしたあとは再び琴電琴平駅方面の電車に乗ります。
降りたのは羽床(はゆか)という小さな駅。ここからは羽床富士とよばれる小さな富士山のような山が間近に見られます。
高松市と琴平町の間に挟まれた綾川町はさぬきうどん発祥の地として知られています。空海の弟子智泉がこの地で唐から帰った空海からうどんの製法を伝授され、町内の滝宮(たきのみや)に住む両親にうどんを振舞ったことがその起源と言われています。
というわけで羽床駅からひと駅、うどん起源の地、滝宮駅にやってきました。水色が夏のこの時期にとてもよく似合います。モダンな住宅のような造りの駅舎です。大正15年の旧琴平電鉄開業時から使われており、近代化産業遺産にも指定されています。
駅から12分ほど歩いたところにある道の駅 滝宮。その中にさぬきうどんの駅綾川があります。
丸亀製麺のようにお盆をとってオーダーするスタイル。ちなみに丸亀製麵は綾川町の隣にある丸亀市とは全く関係がありません。
この日はとても暑かったので「ひやかけ」大を注文しました。うどん用に改良された小麦粉「さぬきの夢」を配合して作られており、讃岐うどんの真骨頂、コシの強さが見た目からも分かる一品。道の駅の中の店舗と言って侮ることはできません。さっき神社でうどんを食べたばかりなのに一気にすすり上げ平らげてしまいました。
滝宮には産業遺産の駅舎のほか、滝宮天満宮や滝宮公園もありますので食後の散歩にも最適な場所です。
もうひとつの古い駅舎、元山駅も訪問
滝宮駅をご紹介したのでことでんにもうひとつある近代化産業遺産の駅をご紹介しましょう。こちらは元山(もとやま)駅。先ほどまで乗っていた琴平線とは異なり、長尾線にある駅です。こちらもライトブルーの塗装。
旧高松電気軌道が長尾線を開業させた明治45年から大切に使われてきた駅舎は鋸型の軒飾りが特徴的です。当時にしてみればかなりモダンな造りの駅だったと言えるでしょう。長尾線内では唯一この駅だけが開業当時の駅舎が残されています。
待合室からホーム方向を望みます。かつてはきっぷ売り場だったことをうかがわせる窓の造りになっていて往時が偲ばれます。
100年以上の長きにわたり地域住民の移動の拠点として使われてきた元山駅。ところどころ痛みも激しくなっていますが貴重な地域鉄道の歴史の生き証人をこれからも守り抜いていってほしいと思います。
高松駅前で締めのうどんを。
ことでんで高松築港駅に戻り、高松を去る前にもう一軒立ち寄ってうどんを食しました。高松市内に何軒か店舗を持つ「めりけんや」さん。
さっきは冷を頼んだから今度は温を、と思いながらもやっぱり暑いのでぶっかけの冷を頼みます。こうやって何軒もうどんを食べ回っても1食が500円程度で済んでしまうのでとってもエコノミー。高松の旅は食費が浮くので嬉しいです。
ことでんで訪ねたうどん食べ歩きの旅。まだまだ沿線には廻りきれないほどうどん店がたくさんあります。みなさんも高松に来たらうどんを食べ回っていただき、好みのうどん店を見つける食べ歩きにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年7月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。