公金投入でメディアを制御するスペイン・サンチェス政権

お金で政府の広報機関にさせる

スペイン政府は多額の資金を一部のメディアに投入して政府の広報機関のように変身させている。スペイン国営放送RTVE、通信社EFE、ラジオSER、テレビSEXTA、新聞El País、Vanguardía、デジタル紙Infolibre、Diario.esなどが政府を有利な立場において報道する代表的な機関だ。

サンチェス首相が5日間公務を離れて首相官邸に引き籠るという出来事があった。6日目に首相として継続することを表明した。その日、サンチェス氏はRTVEに出演して彼を贔屓にしている司会者の質問に答えて彼と彼の夫人が一部報道メディアの対象にされてデマを並べ立てていると批判した。

またその翌日にはラジオSERに出演して、彼と夫人に批判的な報道メディアについての批判した。勿論、このインタビューでも、彼と夫人への批判が根も葉もないデマであることを主張した。

しかし、彼が非難している報道メディア、特にデジタル紙に掲載された一連の記事は事実に基づいたもので、十分に裏付け証拠も取っての記事内容である。

それがデマであれば、サンチェス首相夫妻は名誉棄損で法的に訴えればよいはず。ところが、それを実行したことは一度もない。なぜなら、全て事実だからである。しかも、これら一連の記事内容を基にした右派組織マノス・リムピアスが訴訟を提起し、裁判所がそれを受け入れたことでも分かるように、サンチェス氏の夫人を起訴して公判に至る証拠は十分に挙がっているといことだ。だから、サンチェス首相が述べているようなデマではなく、事実である。

 政府は多額の資金を味方のメディアに投入している

政府は昨年だと、公的に9040万ユーロ(108億円)を報道機関に補助金や広報費として投入している。その主な内訳はRTVEに2170万ユーロ、SERなどラジオに1170万ユーロ、紙面に1020万ユーロ、ネットに1370万ユーロが投入された。この資金投入によって、不況で一般企業からの宣伝広告が大幅に減少している中、政府からの補助金や広報費は小規模なデジタル紙などは経営を維持するのに役立っている。(6月27日付The Objectiveから引用)。

更に、公的企業であるスペイン国有鉄道RENFE、国民宿舎ホテルParador、宝くじ協会なども上述したメディアに宣伝費として資金を投入している。

公的にメディアに今年政府が投入することになっている予算は1億3830万ユーロ(166億円)。それに公的企業が広告などで投入を予定しているのが1億3180万ユーロ(158億円)。即ち、この2つの予算2億7000万ユーロがメディアに分配される総額である。

勿論、上述したように、政府のお抱え報道機関的なメディアにその大半が投入されることになる。一般の企業広告が減少しても、公的資金が広告代として投入されることになる。一方の政府に批判的なメディアにはそれが殆ど届かないということになるから、経営を苦しめる要因となる。それに耐えらないメディアは閉鎖を余儀なくさせられる。

政府と公的企業がメディアに投入する総額が如何に多額であるかというのを示す意味で、アマゾンがスペインで年間広告費として充てている額は4000万ユーロ(48億円)でしかない。