有益な会議とムダな会議の違い

黒坂岳央です。

自分が経営している会社では月イチでビジネスオペレーションの評価、改善、問題提起を目的とした会議を行っている。生産性のない会議は絶対にやりたくないし、そもそも会議なんてものはどうしても必要な時を除いてできるだけ無い方がいいと思っているので、その生産性を非常に意識している。

有益な会議とムダな会議の違いについて私見を述べたい。

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参加時間と参加人数

有益な会議は参加時間が短く、参加者は最小。ムダな会議の違いはその逆だ。

会社員をしていた頃、「この会議って自分が参加する意味はあるのか?」と疑問を持つ場面が多かった。内容をまったく把握できず、「とりあえず出て」と言われて出てみたが結局、まったく無意味だったという経験をしてきた。

そこから学んだことは「会議の参加者は少なく、参加時間も短い方が良い」ということである。筆者の会社では事前に会議の議題や仮説をオンラインのスプレッドシートに入力してもらい、会議でやることは結論を出すことのみ。参加するのは関係者だけで、自分の出番が終わったら即仕事に戻ってもらう。会議で出た結論を端的にスプレッドシートに書き込み、話し合った内容はiPhoneで録音して、AIに読み込ませて議事録が完成だ。

結論を出すことに直結しない時間はすべてムダなので、その時間は自分の仕事を進めてもらった方がいいという考えだ。

課題の処理方法

有益な会議は課題はアクションアイテムに落とし込む。ムダな会議の違いは井戸端会議。

アクションアイテムは、完了させる必要のある具体的タスクのことで、一言で言えば会議で出た宿題だ。ダメな会議の典型は「これって困りますよねえ。どうしましょうかねえ」みたいに同調し合い、なんとなくみんなで課題を認識しつつ結局誰も引き取らずに問題は未解決のまま、というケースだ。こんなことに時間を使っても徹底的に無価値である。

自分の場合、課題が認識されたら「いつまでにどういう成果物で誰が責任を取るか?」をその場で確実にハッキリさせ、スプレッドシートに記録して期日までに結果をチェックする。

資料の取り扱い

有益な会議は資料の読み上げ禁止。ムダな会議の違いは資料を読み上げる。

昔、サラリーマンをしていた頃は配布した資料を棒読みする人がいた。読み終えるまでじっとこらえるだけの退屈な時間だったと記憶している。

今は資料の読み上げは禁止。人間は聞くより読む方が早く、同じ情報を目と耳から入れてもなんの意味もない。事前に読み込んでおき、番号を振って「では次はNo.3について話しましょう」とした方が時短になる。

これは完全に個人的な独断と偏見なのだが、資料の読み上げを好む人ほど、仕事ができない人の可能性が高いと思っている。会議は意見を出し合って結論を出すことが目的なのに、意見を出せるだけの勇気もアイデアもない人が「せめて資料の読み上げをして活躍の場を得よう」と考えての行動ではないだろうか。

しかし、それは実態として参加者全員の時間という経営資源をムダに消費させる「攻撃」でしかなく、限られた会議の時間を有意義にしたいと考える人を苛つかせる。何も意見がないなら無理に話さず、黙っておいた方が遥かにマシである。

反対意見の考え方

有益な会議は反論をする時は代案をつける。ムダな会議の違いはダメ出しするだけ。

会議で出た意見はすべてを受け入れられるわけではない。しかし、自己顕示欲をダメ出しという手段で解消しにかかる人は一定数存在する。せっかく勇気を持った進言が個人的な承認欲求の解消に使われ、勇気をくじかれて次の意見を阻害してしまうという悪影響を及ぼす。

そこで自分の場合は「反対意見を出すなら根拠だけでなく、代案をつけろ」といっている。「それは現実的ではないと思います!」と粗を見つけて反対するだけなら小学生でもできるし、なんの価値もない。だが実現可能性を添えた代案なら、強力な付加価値が帯びる。むしろビジネスマンが代案なき反論をしてしまうと信用を失ってしまうだろう。

筆者はサラリーマン時代にムダな会議に翻弄されすぎた経験から、基本的に会議自体があまり好きではない。だが、どうしても経営層、従業員を交えて意見を出し合う必要性を感じる瞬間がある。そんな時、本稿で取り上げた有益な会議を心がけるようにしている。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。