人は一年で150時間、探し物に時間を使う

黒坂岳央です。

「自覚はないが時間を浪費する原因」それは探しものに使う時間だ。ベストセラー作家のリズ・ダベンポート氏は著書の中で、平均的ビジネスマンは年間で150時間も探しものに時間を浪費しているという。また、コクヨの発表によると、書類探しに年間80時間費やしているとのこと。

時間規模はそれぞれ異なるが、探しものは驚くほど我々の時間を奪っているのだ。仮に150時間とするなら、毎日30分以上探しものをしている計算になる。自分自身、独立してから時間のムダに厳しく、生産性を高める努力をしてきたので探すことはない。コツをシェアしたい。

AndreyPopov/iStock

ものを減らす

最初に手を付けるべきは、徹底的にものを減らすことだ。ものが少なければそもそも探す手間が要らない。これは当たり前のようだが、頭でわかっていても実際に徹底できる人は非常に少ないだろう。

ものを買うことは簡単でも捨てるのは難しい。そのため、時間の経過とともに必然的に物は増えていく一方となる。そこでルールを設ける。一年使わないものは即捨てるのだ。その際に脳内に浮かぶ「まだ使えるからもったいない」という言葉は、整理において最も憎むべきワードと捉えるべきだ。

そもそも、捨てなければいけないものを買ってしまったという、自分の判断ミスを顧みるべきであり、捨てる時の「もったいない」という痛みは逃げずに正面からしっかり食らって次善につなげるべきである。

たとえば服や靴は際限なく増える。耐久性が高いので、いつまでも残り続ける。だが、一年使わないものは即捨て、また必要になったら買い直せば良い。

ゲームソフトやきれいなままの家具、家電などは片っ端からメルカリで売却する。お金になると思えば捨てる抵抗感もなくなる。とにかくものを減らす。

安易に買わない

人によっては買い物が趣味、ストレス解消という場合もあるだろう。しかし、軽い気持ちでものを買ってはいけない。買い物をする時は原則、リプレース、つまり現在、使用中のものが使えなくなってから買い直す時のみというルールを設けるのだ。そうしないと際限なく物が増えて、「あれはどこへいった?」という探しものが始まる。

自分はフライパンでも電器製品でも、「安いから」という理由では絶対に買わない。たとえ無料でも要らない。故障や老朽化など、明確に買う理由が存在する時だけだ。これを徹底すれば物は増えない。だから買う時はできるだけ高性能かつ壊れにくいものを買うようにしている。長く使えば買値が高くても損はしない。どうしても機能性に惚れて新商品がほしければ、今使っているものを必ず捨てて買い直す。

そしてこれは服を買う時にも同じルールを設けていて、3着服を買ったら必ず3着古い服を捨てる。もったいないが物を増やすより遥かにマシである。

マメに掃除

「掃除は付加価値を産まないムダ時間」と捉えて、掃除を年に数回まとめてやる人が多い。昔自分もそうだったが、今は考えが変わった。子供が喘息持ちというのもあるが、汚れを見つけたら都度掃除をする。床掃除はルンバを使って毎日だ。

「それはお前が時間があるからだ」と反発されそうだが、実はマメに掃除をする方がトータルでは得をする。汚れをためると簡単には取れなくなるし、毎日掃除をするとなれば出したら即片付ける習慣が身につくので探しものをする必要がなくなる。床にものがないので、やることはルンバのスイッチを押すだけで時間も取られない。

飾らない

たまに他人の家へ上がらせてもらう機会があるが、あちこち飾り物があることに気付かされる。反面、自分は家に飾り物は一切ない。一度、知人を家に上げた際に「部屋に何もなく、引っ越し直後の家のようで驚いた」と言われたことがある。ミニマリストを目指しているつもりはないが、探しものが大嫌いで掃除の手間を減らし、ものを増やしたくない性分なので気がつけばこうなっていた。

何もなくて殺風景と言われてしまうこともあるが、そうそう人を上げることはないので効率性重視で良いと思っている。

探しものをする時間は、限られた人生の中で費やすべきでない「最もムダな時間」である。整理され、ものが少なければなかったであろう貴重な資源であり、ただただ徒労感とイライラを生み出すだけで何も価値はない。可能な限りゼロに近づけるべきである。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。