使うと貧乏になる言葉

黒坂岳央です。

世の中にはたくさん使うほど、ドンドン貧乏になる言葉がある。そういうと、まるでスピリチュアルのような話に聞こえるが、これはあながち的外れではないと思っている。

自分はかなり貧しい経済状況にいた時期があって、自分自身も貧乏言葉を使っていたし、同じような所得水準の人も似たような感じだった。

あくまで個人の独断と偏見となるが、私見を取り上げたい。

CamiloTorres/iStock

「どうせできない」

「どうせできない」をはじめとする否定語をよく使う人の中で大成した人を見たことがない。大成までいかずとも、小さな成功体験も皆無という印象を受ける。自分自身もそうだった。

「どうせ…」という言葉が出るのは、物事をやる前から成功を完全に諦めているということだ。成功するわけがないと思いながらうまくいくことはありえない。何事もうまくいかないから、あらゆるチャンスを掴むことができないのだ。

そしてその諦める気持ちの根っこは「生まれつきの才能がない」「もう年を取りすぎている」といった、これからの努力や行動ではどうすることもできないことを原因と考えている。「どうせ…」ではなく、「きっとうまくいく」と言い換えたいところである。

「お金がないからできない」

この言葉も社会的にうまくいっている人が、どう間違っても絶対に口にすることはないものである。

生きていく上でお金は不可欠であり、どんな人でも手段の違いはあれど経済活動を経て所得を得ている。生活がカツカツの人もいれば、余裕の人もいるだろう。そして日本では必要なものは大抵手に入る恵まれた環境にある。それは最もコスト高になる「教育費」についてもいえる。

自分自身が本当にお金がなく、ギリギリの生活をしていた時期も、飲み会や遊ぶお金を節約して捻出した資金で、国際会計基準の資格の勉強をするためにスクールに通うことができた。創意工夫すれば、手元にお金がなくても教育資金を捻出してスキルアップ、転職して年収を高めることも現実的である。勉強をしたければ、YouTubeやブログ記事を参考にしたり、図書館で本を借りればお金はかからない。

よく「お金がないからできない」といっている人ほど、ムダなものにお金を使っているものだ。派遣社員をやっていた頃は周囲の人はお金がないと口ぐせのようにいっていたが、タバコや携帯代、酒代やパチンコ代には躊躇なく使っていた。自分はそんな出費は惜しくて使えないのでこれには驚いてしまった記憶がある。

だから本当の意味で1円たりともない人はほとんどいない。「遊びや嗜好品などのムダな出費をやめて、節約して捻出してまではやるような余剰資金はない」ということを端折って「お金がないから無理」といっているのだ。つまりこの言葉を使う人は、やりたいけどお金がなくて諦めているのではなく、本当はただ面倒くさくてやりたくないだけなのだ。

「忙しい」

日本だけでなく、アメリカでもビジネスマンの中には「忙しい」ということで、引く手あまたの有能な人物を演じる人がいる。「忙しいけど充実してて楽しい」というならまだしも、「忙しくて時間がない」と否定的なことを言い続けると間違いなく貧乏に近づくだろう。

人が「忙しい」という理由のほとんどは仕事によるものだ。だが、仕事とは本質的に「忙しいもの」なのである。仕事は英語でbusinessというが、busy(忙しい)+ness(名詞語尾)で「忙しいこと」という意味なのだ。

つまり、忙しいのは当たり前でありその中で知識技術を磨き、時間管理を上手にこなすことで余暇時間をいかに捻出するか?というゲームを現代人はやっている。「忙しくてできない」というのは「このゲームをうまく攻略できない無能」と自分でいっているのと同じなのだ。忙しいから無理だと言い続けている相手に人はよってこないし、仕事も頼まれることはないだろう。

よく「仕事は忙しい人に頼め」という言葉があるが、これはたくさんの仕事を抱えて上手に処理をしている人に頼め、という意味だ。忙しい忙しいと口ぐせになっている人のことではないのだ。

確かにどうしようもなく忙しい仕事があるのは理解している。自分も一時期、働いていた時には平日は夜中1時とか2時、時には3時まで働き、祝日が週に1度しかない会社に勤めていたこともあった。だからしばらく働いた後に転職した。そう、忙しくて困るなら別の仕事をすればいいのだ。世の中、空前の人手不足であり、かつての就職氷河期、地獄のようなデフレ不況ではない。それでもうまく行かないという人がいるなら、それは現実から目をそらして仕事内容を不相応に高望みしすぎなだけである。

「思考は現実化する」という有名な言葉がある。同時に「言葉は現実化する」といってもいいはずだ。なぜなら思考が言葉を作り出すので、よくない思考はすぐに良くない言葉に変換される。思考は外からは見えないし自分でも気づかない事が多いが、言葉はよく見える。だから貧乏になる言葉を使っているなら今すぐ使う言葉を改善することを勧めたい。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。