岸田首相が光熱費補助の裏で脱炭素ステルス増税を指示

GX2040リーダーズパネルでの岸田首相
首相官邸HPより

岸田首相が「脱炭素製品の調達の義務付け」を年内に制度設計するよう指示した。義務付けの対象になるのは政府官公庁や、一般の企業と報道されている。

脱炭素製品の調達、「年内に制度設計」首相が検討指示

脱炭素製品の調達、「年内に制度設計」首相が検討指示 - 日本経済新聞
政府は1日、グリーントランスフォーメーション(GX)政策を推進する有識者会議「GX2040リーダーズパネル」を開いた。二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えたグリーン製品の市場を広げるため、公共調達で購入を義務付けるといった規制や制度対応を議論した。岸田文雄首相は会議で「調達加速化のための措置などは年内に制度設計のメドを立...

ここで言う脱炭素製品とは、再生可能エネを利用した鉄鋼や化学製品、バイオ燃料、電気自動車などを念頭に置いている。

脱炭素支援、グリーン製品調達が要件 太陽電池やSAF

脱炭素支援、グリーン製品調達が要件 太陽電池やSAF - 日本経済新聞
経済産業省は、製造時に二酸化炭素(CO2)排出を減らした製品を調達する企業を優遇する制度をつくる。企業が補助金など政府のグリーントランスフォーメーション(GX)支援を受けるには、低炭素型の鉄鋼や太陽電池などの調達を要件にすることを検討する。グリーン製品の需要を拡大するとともに、20兆円規模の支援で企業の脱炭素投資を後押...

だがこんなことをすれば、企業はコストが高くなり、賃金のカットや製品の値上げを余儀なくされる。政府も、予算が不足して、行政サービスのレベルを落とすか、増税するしかなくなる。いずれにせよ、国民の負担となることは間違いない。ステルス増税だ。

政府はグリーントランスフォーメーション(GX)を推進しており、今後10年間で150兆円の官民の投資を「規制と支援」によって引き起こすとしてきた。投資と言うと聞こえがよいが、原資を負担するのは国民だ。150兆円といえば一人当たり120万円にもなる。この脱炭素調達義務付けはその一環だ。

再エネや水素など、政府が進める技術はコストが高いので、そのままでは誰も買い手がいない。そこで、義務付けによって強制的に買わせようという訳だ。

その一方で、政府は先日、光熱費への補助金を8月から再開すると発表している。

電気・ガス補助再開で8・9月2125円安く 10月は1300円

電気・ガス補助再開で8・9月2125円安く 10月は1300円 - 日本経済新聞
斎藤健経済産業相は28日、8〜10月に電気・都市ガス料金への補助を再開すると表明した。標準家庭では電気と都市ガスをあわせて8、9月は月2125円、10月は1300円程度の負担軽減になる。ガソリン補助は年内継続する。家庭向けで8、9月は1キロワット時あたり4円、10月は2.5円を補助する。都市ガスは1立方メートルあたり8...

一方でステルス増税をしておきながら、他方では国税を投入して光熱費に補助金を出す。これは国民を愚弄している。光熱費を下げるためには、国民負担の付け回しに過ぎない補助金に頼るのではなく、愚かな脱炭素政策を止めるべきだ。