南海トラフ地震注意の中、宮崎旅行は無謀?

今週友人達と一緒に宮崎に出かける予定です。現地の美味しいお店を巡ったり、クルージングやワイナリー巡りといったイベントを企画しています。

宮崎といえば今月8日の夕方に日向灘を震源とする地震があり、県内では最大震度6弱を観測しています。

気象庁が初めて発表した南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)によれば、8月15日までの1週間は大規模地震の発生可能性が平時より高まっているとして注意を呼びかけました(図表も気象庁のウェブサイトから)。

この影響で宮崎の観光地では宿泊のキャンセルが相次いでいるそうです。

しかし、気象庁が発表した内容を見ると、これは大地震が1週間以内に起こると言っているわけではないことがわかります。マグニチュード8以上の地震の発生確率が平時の0.1%から0.5%に上昇している予想しているに過ぎません。

そもそも、地震に関しては解明されていないことが多すぎて、予測することはほぼ不可能と言われています。確率が0.5%に上昇したという発表に関しても、証明されている訳ではなくあくまで仮説に基づく予想です。

百歩譲って、もしこの予測数値が正しいとしても、せっかくの予定を中止して、宿泊施設をドタキャンするのは、合理的な行動なのでしょうか?

私は地震に関しては、いつどこで起こるかわからないという前提で、普段から粛々と準備と対策を練っておくべきだと思います。

今回の発表を受けて、ミネラルウォーターや非常食を買い込んだりしてパニック的な行動をしている人がいますが、メディアの過剰報道に振り回されている情報弱者です。

また、過度に視聴者の不安を煽るマスコミの報道姿勢は、コロナ禍と良く似ています。これは、視聴率獲得のためという側面もありますが、マスコミだけが悪い訳でもありません。

過剰な警戒をして被害がなかったとしても、批判される事はありません。ところが楽観的な予想をしてそれを上回る被害が出ると、批判が集中します。

そのような事態を恐れるあまり、最悪のシナリオを採用してしまうのです。日本の大手企業の「過剰コンプライアンス」と同じような状態です。

今回、宮崎に旅行に出かけるにあたって心配しているのは、余震が発生した際に航空会社や鉄道会社が過剰な反応をして欠航や運休をしてしまうことです。

そんな事態にならないことを祈りながら、予定通り旅行に出かけてきます。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年8月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。