取得してよかったビジネススキル3選

黒坂岳央です。

世の中には特定の仕事でのみ効果的な技術と、あらゆる仕事で共通して役に立つ技術がある。今回論じるのは後者だ。個人的に良かったと感じるビジネススキルを取り上げたい。

spukkato/iStock

1.発信スキル

自分にとって最も役に立ったものが発信スキル、すなわち記事執筆、動画制作、講演でのトークだ。

日本人であれば誰しも読み書きをしたり、人前で話した経験を持っているはずだ。しかし、「友達や社内の同僚相手にできるレベル」と「不特定多数の視聴に耐えうるレベル」では天地ほど差がある。日頃、友達や会社の同僚にLineやメールをしている人も、特定のテーマに対し自分の意見を論理的に主張することは非常に難しい。いざ書こうとしても、何を書けばいいかわからない。自分の意見を書いているつもりでも、主張がいったりきたりブレて結局、何がいいたいかわからない文章になりがちだ。

尚、トークとなるとさらに顕著である。部屋にスマホを立てて撮った動画で10分間以上、集中して聞ける話をしたり、冠婚葬祭のスピーチで聞いている人を唸らせることは日頃から訓練を積んでいない人がやってのけることはほぼ不可能である。試してみたい人はYouTubeチャンネルを作り、10分間ほど話す動画を投稿してみるといい。9割以上の人は視聴維持率10%を超えることはできない。

この発信スキルの価値の本質は「拡張性」である。駅前の人の往来が激しい場所で声を上げたり、会議室を借りて地元の人を10数人集めても伝えられる相手の数はたかが知れている。しかし、インターネット上に記事や動画を出せば数千、数万人に声を届ける事ができてしまう。

この記事を寄稿しているメディアでも、過去に1記事で150万PVに到達したこともあるし、YouTube動画でも1動画で数十万回再生になったこともある。記事や動画からビジネスオファーにつながることは多い。さらに記事や動画は24時間365日休み無しで動き続ける。自分が寝ている間もだ。

発信スキルは所得の多寡だけではなく、生き方そのものも変えてしまう力がある。

2.失敗スキル

非常に多くの人に「失敗を許容できるのは生まれつきの性格」と誤解されている。スキルとは多くの人ができないことを知識や技術の取得を通じてできるようにするプロセスのことなので、その定義で考えるなら失敗を受け入れる力は明確にスキルに位置する。

時々、生まれつき失敗スキルの高い人がいるが、そうした人は例外として90%以上の人は失敗を受け入れられないメンタリティと考えていい。

子供は失敗を怖がらない、という話があるが実際には間違いだ。小学生の段階で「失敗したくない、失敗は自己否定感を覚えるので避けたい」という思考になる子は非常に多い。学校では「”間違い”とストレートに言うと子供がショックを受けるので”いいね、その考えもあるね。他の考えはありそう?”と一旦受け入れる」という話があった。育児本にも「間違い、という言い方をするな」とよく書かれている。その後も人は学業や仕事に点数がつけられ、その後はプライドも持つようになることでますます失敗ができなくなる。

自分も元々、失敗を恐れて何一つ挑戦できない人間だったのだが、途中から学習を経て失敗を許容できるスキルを取得した。そうしたことで、やる前に失敗を恐れて非効率にいつまでも情報収集や準備をし続けることをやめ、まず小さく始めて失敗からデータを集めて改善を繰り返す、という最も合理的なビジネスプロセスを獲得することができた。

何事も早い段階でできるだけたくさんの小さな失敗から学ぶフェーズがあり、これがラーニングゾーンとして最も伸びやすい領域として機能する。だが、失敗スキルがなければいつまでも怖がり続けて、永遠に準備をし続けてしまう。そうなれば周囲の人から保証を得ないと一切行動できず、そのような自走できないビジネスマンは市場価値が高いとは言えない。それ故に一日でも早く取得したいスキルだ。

3.習慣化スキル

最後に習慣化のスキルである。誰しも継続は非常に難しい行為である。1年後の継続率でいうと、英会話レッスンは6%、フィットネスジム 4%未満、YouTube投稿 10%未満、その他、ありとあらゆる学習やスキルで1年間継続できる人はほとんどいない。故に、それができる力はスキルと認識して差し支えないだろう。

手前味噌でおこがましいが、自分は習慣化については強い自信がある。記事執筆は7年、YouTubeは4年、資産運用は10年、筋トレもプログラミングも開始からずっと継続できている。その気になればどんなに単調で苦痛を伴う活動も、何年、何十年でも継続できる自信がある。それはあらゆる活動において継続するために必要なスキルを取得済だからだ。

習慣化の技術について論じると分量が膨大になるので1つだけいうと、「習慣化以外の全てを捨てる」ことがコツとして機能する。人が習慣化できない最大の理由はシンプルに活動に飽きてしまうからで、多くは安易に気晴らしや暇つぶしなどに逃げてしまう。

自分の場合はやるべきこと以外は何もしない、いやできない環境を作っている。たとえば一年間の99%の時間は自宅と会社、事務所で過ごしており、家族でいく旅行や外食は除いて、必要性の高い以外のことに一切時間は使わない。いや、そもそも田舎で娯楽がない。そうなると「ぼーっと空を見るより仕事やスキルアップの方が楽しい」という環境なので自然に続いてしまう。つまり、活動の開始前に誘惑の芽を事前に摘んでおくのだ。

どんな仕事でも今回紹介したスキルは役に立つし、時代が変化しても陳腐化することはない。故に一日でも若い内に取得することをおすすめしたい。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。