「ひろゆき×斎藤幸平」YouTube番組を見て思ったこと

こんにちは!自由主義研究所の藤丸です。

最近、このnoteでは海外の論文の紹介ばかりで堅い内容ばかりなので、今回はまったりと、最近見た動画の感想でも書いてみようと思います(*^^*)

(今回は自由主義研究所としてではなく、完全に個人の感想です)

たまたま薦められて見た、「ReHacQ−リハック−」のひろゆきさんと斎藤幸平さんの対談番組 ↓ です。(前半と後半に分かれています)

斎藤幸平さんは、東大准教授で、有名なマルキストです。

彼の著書”人新世の「資本論」”は、50万部以上のベストセラーだそうです。

(私は彼の本は読んだことはないのですが、この”人新世の「資本論」”の批判をしている柿埜真吾さんの本 ↓ は読みました)。

自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠 (PHP新書)

下の「4つの経済思想」の図をご覧ください。

そんな極左・マルキスト・全体主義者の斎藤幸平さんですが、このyoutube番組をぼ~っと見ていると、彼がそんなに「ヤバい人」には見えないのです。

ひろゆきさんとのやり取りでも「偉そうで嫌な奴」という印象を全然受けないですし、自分たち(左派)の欠点も苦笑いしながらも認めていて、意外と話が通じそうな好感がもてる気さえしてきます…。

途中、ズッコケたのがこちら ↓ の斎藤さんの発言。

「日本は、社会のせい、というのがあまりに弱くないですか?
新自由主義という努力が大事、と重きをずらしていった思想(のせい)で、
その結果、「社会のほうが問題」という意識が下がっていて」

ええ~!今の日本は「社会のせい」「社会のほうが問題」という声ばかり聞くけど~!!??

もう一度「4つの経済思想」の図を見ると、極左の彼(一番左のマルクス)から見ると、他は「全部、右!(自由主義側)」と思うのでしょうか?

(それとも、「自由主義」が広がりすぎている!、という認識を視聴者に広げたほうが得だから、かもしれません)。

さらに、斎藤幸平さんは番組の最後に次のように言います。

「日本が好きで私は愛国者だから」
「こんなにご飯が美味しくてこんなに良い国ない」
「10年ぐらい外国に住んでいたので日本の良さがすごくわかる」
「日本の良さは神社・仏閣含めあると思う」

自由主義者で愛国者でもある私はこういう発言を聞くと、ちょっと驚いて「本当はいい人かもしれない」「左派と言っても、方法が違うだけで自分の祖国を大事に思う気持ちは同じなんだな。話し合えるかもな」と、ふと思ってしまいそうになります(我ながらチョロいですね)

そして、最後まで番組を見た後に、「左派とメディアの力は本当にすごいな、怖いな」と改めて思い、軽く絶望しました。

歴史を少し学ぶだけで、左翼やマルクス主義者・共産主義者の恐ろしさはわかります。

ソ連や中国共産党、北朝鮮、カンボジアのポルポトなど、どれほど自国民を大虐殺してきたか。日本でも極左はテロ事件やよど号ハイジャック事件、山岳ベース事件やあさま山荘事件など組織内でのリンチ殺人など、信じられないような残虐な事件をおこしています。

私が自由主義を広げたい理由の一つは、この恐ろしい全体主義に本当の意味で対抗できる思想は、全体ではなく個人の自由を大事にする「自由主義」しかないからです。

「今の左翼や共産主義者は昔とは違う。そんなに過激ではない」という人がたまにいますが、本当にそうであれば、こんな恐ろしい人殺し集団と同じ思想(マルクス主義者、共産主義者)を自称することはないでしょう。

でも、歴史をあまり知らない人がこのyoutube番組を見ていると、

「左派は、弱者に寄り添う人たち」
「左派は真面目過ぎるからこそ、日和った仲間を許せないのだな」

というふうに「本当はいい人なのかも」と勘違いしてしまうと思います。

番組側も適度に左派の批判もし、うまくバランスを取っているように見えます(そう見せているのでしょう)。

ここで問題なのは、斎藤幸平さん自身が個人として一般的に言われるような「いい人」かどうかではありません。それはどうでもいいです。メディアがどのような意図でこの番組を作ったのかも、どうでもいいです。

私が「左派やメディアはすごいな、恐ろしいな」と思うのは、「極左でも、いい人なのかもしれない」と視聴者に思わせることができる力です。

斎藤幸平さんの、ご自身の「見せ方」が上手なのも当然あるかと思います。

さきほど紹介した斎藤さんの「愛国発言」は番組の一番最後の発言なのですが、それまで番組を見た視聴者は「斎藤さん意外と話がわかる人かも」と思ったと思うので、最後に露骨に保守や一般人に更に媚びて、「やっぱりいい人だ」と思わせている気がします。この愛国発言が、もし番組の冒頭にあったらかなり違和感を感じる人が多いと思います。

気づかないうちに世の中に左派の価値観が浸透し、人々の価値観が全体的にに左に傾いているので、「極左」と言ってもそこまで多くの人々とかけ離れている価値観ではない、ということかもしれませんね。

(下の図で言うと、社会の多くの人の価値観が”ケインズ”くらいであれば、”マルクス”はそのすぐ隣ですしね)

実際、「保守」と言われる自民党や維新の中にも、左翼的な政策を掲げる人が非常にたくさんいます。(どこが保守やねん!と思います)

番組内ではひろゆきさんが、「左派はやり方(見せ方)が良くない」「もっと一般人に興味を持ってもらえるようなやり方でするべき」と一般人に広げるためのアドバイスをします。これが番組のテーマだと思います。

つまり「左派は(内容は悪くないのに)伝え方が悪いから、伝え方を工夫すべき」。

ここで騙されそうになるのですが、違います。左派は「内容が悪い」のです。左派思想そのものが、社会を衰退させ全体主義化させ、結果として個人の自由や生命を奪ってきたのです。

内容は悪くないのに~、みたいに勘違いさせる刷り込みやめてほしいです。

「齋藤さん、その態度は良くない。そう言われちゃうと「興味ない」になっちゃう」
「「こうだからこの波に一緒に乗ろう」という態度じゃないと人は増えない」
「1億人が聞いているテレビで5分間しゃべれる時に何を言うか?という言葉を齋藤さん、持っていたほうがいい」

ひろゆきさんの発言

ひろゆきさんの発言自体は、何かを広げるうえで真っ当なアドバイスだと思うのですが、そもそも「左派は内容(思想そのもの)が悪い」し、さらに、左派や左派擁護者(この番組自体も含めて)の広げ方は、十分すごい上手いですよ。

本当に恐ろしいほどです。明確に歴史上最大の大虐殺した集団たちと同じ思想の人たちを、「いい人かも」と勘違いさせるのですから。

どこまで自覚しているかどうかは知りませんが、こういう人たちが少しずつ一般人の常識に浸透し社会を左傾化させたのだと思います。そして、気づいたときには世の中が全体主義化して個人の自由はなくなってしまうのだと思います。

地獄への道は善意で舗装されている、じゃないですけど、本当に「いい人に見える(見せることができる)」ことは怖いですね。

さらに恐ろしいのが、こんな極左の人たちが「一般人にもっと広げるにはどうしたらいいか」と日々考えて努力しているということです。

誰でも知っている「左翼」として、斎藤幸平さん、グレタさん、SEALDs(シールズ)、山本太郎さんを考えてみましょう。

私の個人的なイメージですが、過去の斎藤幸平さんとグレタさんは、「いつも何かに怒っている」「不機嫌そうにしている」というイメージがありました。蓮舫さんもそうです。

”人新世の「資本論」”(2020年)の本の帯の齋藤さん →怒ってそう

子どもの時のグレタさん →怒ってます!

そして、SEALDs(シールズ)や、れいわの山本太郎さんのパフォーマンスは、「ヤバいテンションのお祭り」のようなイメージがあります。

2015年のSEALDs

これら「怒ってます系左翼」も「ヤバいお祭り系左翼」も、自分は絶対近づきたくないし、普通の人は嫌だろうな、と私は思っていました。

しかし、今回のひろゆきさんとの対談番組での斎藤幸平さんは、悪い印象・近づきたくないという印象を感じなかったんです。むしろ「何とか業界を盛り上げるために真面目に考えている人、他人のアドバイスも聞く耳持ちそうな人」という好印象です。

本当に怖いですね。極左も「見せ方」を工夫して、一般人に受け入れやすいように、穏健に見えるように変化させているようです。

相手を激しく糾弾するやり方で人気だった蓮舫さんが、都知事選でボロ負けしたので、従来のやり方を変えざるをえないのかもしれません。

「怒ってます系左翼」「ヤバいお祭り系左翼」から「穏健で話ができます系左翼」へ、一般的な日本人の好みに合わせて来ているような気がします。

この対談の内容で特に感じたのが、日本人は「自分の(自分の仲間の)欠点を素直に認める人が好きだ」ということです。

斎藤さんが、自分たち左翼のダメなところを素直に認めて、でも何とかしたい…と思い悩む姿が、視聴者に好感を持たれている気がします。

従来の左翼は、敵を批判するばかりで自分たちのダメなところは認めようとしないイメージがありますが、番組内の斎藤さんの自分たちの欠点や弱いところをさらけ出す姿に、視聴者は人間味を感じ共感を持てるのだと思います。

結果はうまくいって、このYouTubeのコメント欄も斎藤さんに好意的な意見がとても多いです。

番組全体含め、本当に見せ方が上手だと思いましたね。

左派がこんなに上手に世の中に浸透しているのに、今後、さらに極左まで「見せ方・伝え方」が上手になって、普通の人が極左の言うことも耳を傾けだしていくかもしれません…(泣)

その点、日本の自由主義者は数が少なすぎるから仕方ないとはいえ、「一般人に興味を持ってもらえるようなやり方・見せ方」が、あまりにも下手すぎます(私も含め)。

それどころか、自由主義者の中には、一般人に興味をもってもらおうという「視点」すらない人が多く、これでは左派に負け続けてしまうと思います。そもそも権力を持っている左派の力は強大なのに、それに対抗したい自由主義が一般人にすら広げられない(広げる気がない)ならどうしようもないですよね…。

軽く絶望しましたが、現状認識は必要です。

敵はいろいろな意味であまりにも強大ですが、海外で成功している自由主義者のやり方や、ときには敵のやり方を参考にして、私も自由主義を広げる方法を考え続けなければいけないと改めて思いました。

(だからというわけではないですが、いつもの真面目な経済学の記事ではなく、今回のnoteは動画を見た感想を書いてみました。試行錯誤中です…)

こんなことを休日にまったりしながら、ひろゆきさんと斎藤幸平さんという「左翼」と「極左」の対談番組を見ながら感じました。

ちなみにこのYouTube番組は、再生数55万回!すごいですね…。

このnoteを読んでくださった方も、番組を見た方がいるかもしれません。皆さんの感想も伺ってみたいですね(*^^*)


編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年8月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。