シャンプーのボトルを大きくすれば「地球にやさしい」のか?

Mokkup/iStock

1990年代以前は、公園や鉄道の駅などに当たり前のように存在したゴミ箱は今やほとんど見かけなくなりました。

地下鉄サリン事件のようなテロ事件などを機に、危険物による被害を防止するという理由から撤去されていったと記憶しています。

確かに、ゴミ箱撤去にはそのような防犯面もあると思いますが、真の理由はゴミ箱の維持コストのカットではないかと思います。

コストがかかるから撤去と言えば批判を浴びますが、テロ対策であれば誰も反対できない。都合の良い理由として使われているように見えるのです。

最近は「地球にやさしい」を錦の御旗に、都合良くコスト削減する宿泊施設が増えています。

日本のホテルでは以前は小分けされたアメニティー(写真)が揃えてあるのが普通でした。ところが、最近は1泊10万円を超えるような高級ホテルでも大きなボトルのシャンプーやボディーソープが設置されています。環境に配慮しているのだそうです。

 

ビジネスホテルの中には、連泊の際にベッドメイキングをスキップすれば、CO2の削減につながると謳っているいるところもあります。

その裏には、清掃の負担を軽くしようとする意図が透けて見え、環境問題を前面に出す説明を読むと「何だかなあ」という気分になってしまいます。

来週から出かける予定の韓国では、大規模ホテルの使い捨てアメニティの無料提供が禁止になったそうです。アメニティがどこまでを指すのか現地で確認する必要がありますが、念のために歯ブラシ、シャンプー、ボディソープなどを持参しなければなりません。

歯ブラシもシャンプーもなく、固形石鹸しか置いていないアメリカのビジネスホテルチェーンのようにようななってしまうのでしょうか。

インフレと労働力コストの上昇で、世界的にホテルのサービスは昔に比べて低下してきています。

無駄なアメニティーは必要ありませんが、必要最小限のものは準備してほしいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年9月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。