トランプ vs. ハリス討論会速報

日本時間の11日午前10時から行われたトランプとハリスの討論会を見た。先ず「ABC」のLIVEで90分、そして「FOX」の録画を日本語字幕で90分、都合3時間見たことになる。

討論の内容自体は、これまで報道されて来たような、それぞれの政権の実績の評価および今後の政策などなので、特段目新しい発見はない。が、両人の態度や姿勢に著しい相違が見受けられたので、先ずそれから述べる。

6月のバイデンとの討論は互いに握手することもなく始められた。トランプは今回も同様にするつもりだった様子に見受けられたが、ハリスがトランプに歩み寄って右手を差したので、トランプも軽く会釈しつつそれに応じた。ホテルに籠って側近と学習したハリスの予定された初期動作だったのだろう。

その後の90分間、トランプがハリスや中継カメラには一度も目を向けなかったのに対し、ハリスは特徴的な動作を終始繰り返した。即ち、発言時の大方はカメラ、つまり視聴者に目を向けて語り掛け(練習通り)、残りはトランプに顔を向けた。またトランプ発言を聞く間の多くは、トランプに顔を向けたり、薄笑いしながら顔を大きく横に振って否定の意を表したりし、後は少し下を向いて苦笑したり、思案気に辺りを見回した。

他方、発言中のトランプの顔は終始司会者に向けられ、またハリスの発言中は、司会者にもカメラにも目を向けず前を向き、時折小さく頷いたり否定の表情を見せたりするに止まり、努めて抑制的だった。二人の態度や姿勢は、共に事前に練られたものだったのだろうが、筆者はトランプのそれが真摯に見えた一方、ハリスの、特にトランプ発言を聞く態度には、軽薄さや相手を小馬鹿にしている印象を持った。

双方とも事前に懸念されたような破綻はなかったと思われ、討論でボロを出すことを不安視していたハリス支持者は胸を撫で下ろしていようし、他方、それを期待していたトランプ支持者には不満が残ったかも知れぬ。が、勝敗の帰趨を握る接戦7州の無党派層の目に、前述した両者の態度や姿勢がどう映ったかを忖度するに、トランプは意外に紳士(真摯)だが、ハリスはやや軽薄に見えたのではなかろうか。

最後に印象に残った討論の内容を一つ上げれば、それはウ・ロ戦争に対する考え方だ。「ABC」のアンカーがトランプに執拗に「ウクライナが勝つことが米国の国益か」と問うたが、トランプは「直ぐに戦いをやめることだ。多くの人の命が失われているからだ。私にはそれができる」とだけ答えた。

トランプは「ハリスがロシア侵攻の直前にゼレンスキーに会いに行った」と述べたことについて、「その直後にプーチンがウクライナに侵攻した」と述べて、ハリスの訪問が子供の使いだったことを印象付けた。ハリスは「ゼレンスキーと5回会った」と述べたが、この2年半、彼女もバイデンも張本人であるプーチンと面会していない。バイデン/ハリス政権最大の弱点はそこだったのではあるまいか。