自民党総裁選、筆者が候補者なら政策をこう主張する

自民党HPより

自民党総裁選(9月12日告示 27日投開票)で候補者がほぼ出揃った。それぞれの政策も出て来ているが、それらを拾い集めて吟味するのも芸がなく、第一に発表後も内容が曖昧であったり流動的でもあり、余り生産的ではない。

そこで先ず、仮に筆者が総裁選候補だったら、どのような政策を打ち出すかを自身の頭の整理も兼ねて、思いつく所を以下に羅列してみた。実際の政治を想定すれば、実行のスケジュールを付した上で、色々な柵や世論の流れや支持者の意識にも忖度して、オブラートに包んだりして打ち出す必要があるだろうが、取りあえずそれらを取り払い方向性だけストレートに記した。

なお筆者は、前提とする理念として、外交・防衛に於いては、「国際的大義を伴う長期的国益の追及」を、内政に於いては、「ナショナル・ミニマムを伴う自立社会の構築」を掲げたい。

憲法改正

9条改正を行い、自衛隊の位置付けと役割を明確にするべきである。一方、「緊急事態条項」の創設は不要であり、仮に議会の牽制機能を強めに組み込んだとしても、国民の自由を恣意的に過度に制限する恐れがあるため避けるべきである。

現に英米法では憲法に緊急事態条項は無く、大規模災害、戦時下、パンデミック等の緊急的状況下でも、コモン・ローや個別立法で対応している。

なお余談だが、国民民主党の玉木代表が、むしろ自民党の尻を叩くようにして「緊急事態条項」の創設に異様な情熱を燃やしている事には、特別な背景でもあるのかとの勘ぐりが湧かぬでもない。

社会保障

少子高齢化により、年金、健康保険を持続可能な形に改革する事は必須だろう。さもなくば廃止すべきだ。年金については緩和措置を設けるも、どこかで線を引いて積み立て方式等に変えなければならない。健康保険については、高齢者の窓口負担を3割にする他、いわゆる延命医療や超高度医療は保険適用外とする等の変更が必要だろう。

何れもドラスティックな改革となるが、何時かはやらねばならない。

外交防衛

先ず自主防衛力を高めなければならない。それによって国家としての主体性を発揮するための土台が出来る。進んでは憲法の書きっぷりともリンクするが、例えばイラク戦争のような筋の悪い対外戦争への加担を避ける一方、米本土が攻撃され我が国の存立にも関わる際には支援に回る等の主体的な判断の余地が出来る。また、武器購入や共同開発の際に条件交渉のバーゲニング・パワーともなるだろう。

なお、西側 vs. 中露の構図は、ウクライナ戦争の泥沼、BRICS、グローバル・サウスの拡張を見れば、何れ西側の詰みとなり破綻する。現時点では、トランプ再選で実質米露同盟+αで拡大中国包囲網の形成となるか、民主党政権で西側の凋落、混沌の世界情勢となるのかは見通せないが、何れの場合も我が国は主体的に動かねばならない。

財政・税制

日本の財政が不健全な状況なのには、前述の社会保障の膨張、少子高齢化に原因の半分がある。

残りの半分は、全部が無駄ではないにしろ、ここ数年8~10兆円程度を計上している「男女共同参画事業」予算、外国人・外資のしょぼいカネがパーティー券を法の抜け穴として入り込み国政を歪ませて海外に資金が流れている事、CO2削減等の国際的トレンドに全振りで欣喜雀躍として飛びついた無駄に終わる可能性の高い事業、及び景気が上向くと増税で景気の足を折る事を繰り返してきた財務省主導の増税翼賛体制等に原因がある。

上記の無駄を洗い直すとともに、財務省から国税庁を分離し社保庁と統合し、増税翼賛体制は解体されねばならない。

少子高齢化・規制緩和

少子高齢化は、地続きながら分解すると少子と高齢化になる。少子では岸田政権の「異次元の少子化対策」は、概ねムダ金を撒いて効果が無かった。

経済界と左翼が「多様性」「共生社会」等として推している外国人・移民による人手不足対策は、全否定はしないものの、欧米の社会混乱を見れば、少なくとも労働・納税・帰国OR定住・出産・教育・世代交代・社会保障受益・死没のサイクルのシミュレーションを精緻に設計した上で、かなりの緩やかなペースで行い、対策はロボット・AI化を中心にすべきだろう。

規制緩和は、諸外国で当たり前の金銭解雇やライドシェアは進めるべきだ。もし不都合が出れば最悪元に戻せばよい。

一方で、弊害が多く諸外国でも失敗した水道事業の民営化等の社会インフラに関り不可逆的に近いものは禁止すべきだ。水道事業の民営化等は、自治体の刹那的な財政弥縫策に過ぎず何の意味もなく、維持管理の単純な委託契約に留めるべきだ。

エネルギー・食糧

この両者は、安全保障の要である。原発は、粛々と審査を進め適合すれば再稼働して行くべきだろう。また、今後に向け仮に活断層が動いたとしても自動収束するような小型新型原発の開発・導入を図るべきである。

また太陽光・風力等の自然エネルギーは、オワコンの風情も漂い始めたCO2削減ではなく、エネルギー多様化・安保のために政策を組み換え、外資・海外製品の原則禁止、事業者に蓄電設備の負担も負わせるべきである。

コメの備蓄は、現在1.5ヶ月分と言われているが、諸外国の主食並みに最低1.5年分以上にすべきである。また、食料自給率の100%化を目指し、「食糧自給権」を国家主権の一環とすべく国際社会で画策すべきである。

その他

その他、前述のパーティー券の外国人・外資の購入は禁止・厳罰化が必須である。夫婦別姓は、通称使用や場合によっては事実婚も選択肢なので喫緊の課題ではないだろう。健康保険証の全マイナ化は、芋ずる式情報流出等を考慮し北欧の小国を除いて諸外国でも慎重であり、少なくとも今一度踏みとどまるべきだ。コロナワクチンの健康被害については、先ず厚労省は情報を包み隠さず出すべきだろう。パンデミック時等に統制の取れない民間の医療機関は公営化等を図り、それらに備えるべきである。

現在、有力候補として挙がっているのが、石破茂、小泉進次郎、高市早苗、河野太郎、上川陽子、小林鷹之、等の各氏である。それぞれの主張を見ても、筆者の挙げた方向性からは大分遠い感がある。

筆者は党員ではないので直接意志行使する事はないが、米大統領選ではトランプ再選、自民総裁・首班指名では強いて言えば高市早苗氏の組み合わせが日本にとっても、世界にとっても望ましいと思う。だが、高市氏にしても特に外交に於いては故安倍晋三氏のような対露外交も視野に入れたようなダイナミックさが無く、定型的な視野狭窄を感じる。

何れにしても、総裁選の論戦では、それぞれの内政、外交に対する政策の背骨・全体像が浮彫になるような論戦を期待する。その有無も含めて。

今後、岸田氏のような器用だが主体性のない首相が続き、その下で日本が国際社会で翻弄され、搾取され、内政に於いても戦略性無く衰退の一途を辿る事は厳に避けねばならない。