ひろゆき氏の「学習院は特別」説に反論する

悠仁さまの進学先は、学習院以外のどこであっても批判されそうだ。学校推薦やAO入試なら「忖度ありの裏口入学」、ガチンコの一般入試なら「一般国民と争って一人蹴落とした」といわれるだろう。

世界を見れば、プリンスの勉学の場は立場に配慮したものであるのが常識だし、日本人もそう思ってきたと思う。しかし、突然、おかしな空気が流れ、学習院ならいいが、ほかはダメだというのだ。

たとえば、ひろゆき氏は『ABEMA Prime』で「学習院は皇族のためにつくられた学校だから、試験がなくても入れるというのはいい。しかしそれ以外の所、東大でも日大でも入りたいなら一般人と同じように入試を受けるべきだ」とまで言い切っている。

ABEMA Primeに出演したひろゆき氏 ABEMA TIMESより

また、以下のような、記事もいっせいに出ている。

  1. 「なぜ悠仁さまは学習院を外したか」男性・男系天皇にこだわり天皇制を維持する社会制度を整えない日本の怠慢 島田裕巳
  2. 悠仁さまは学習院ではなぜダメだった?大学進学で疲弊する宮内庁職員「もうやめたい」と悲鳴【秋篠宮家の学校選び】
  3. 悠仁さま18歳に進学先の選択肢ではない?学習院大OGは「皇族にとって良い環境」

振り返るに、悠仁さま、学習院幼稚園へ行かないことを契機に袋だたきにされ続けてきた。だが、学習院が特別な存在だとか、悠仁さまが学習院を選ばないのがけしからんといった議論はおかしいということを、きちんと説明したいと思って『「悠仁さまは学習院に行くべき」はおかしい!袋だたきの批判に皇室評論家が反論』という記事できちんと反論を加えた。

学習院はもともと皇族の学校でもないし、皇族は学習院で学ぶべきなどというルールも哲学もなかった。

学習院大学ひとすじなどというのは、今上陛下がはじめてで、それがあまりよかったとも思えない。

上皇陛下の姉妹のうち、東久邇成子さんは、3人の男子を慶応幼稚舎に、島津貴子さんは長男を西町インターナショナルスクール、啓明学園に通わされた。そのあたりは、旧宮家について詳細に書いた『系図でたどる日本の皇族』(宝島社)でも説明している。

学習院が最後に男子皇族を受け入れたのは、秋篠宮皇嗣殿下の時、つまり40年ほど前のことであって、当時のノウハウなどは残っていない。将来の天皇の安全を確保すべき警備は、今上陛下の時が最後だ。愛子さまの場合は立場も違うし、登校されても不特定多数の学生と交流された機会は一度もなかったので参考にできない。

一方、お茶の水女子大附属や筑波大学附属を所管する大塚署は、悠仁さまが幼稚園の時から一貫して警護を担当しており、警備の面でも学習院に優位性はない。

「学習院なら適切なご学友が得られる」との声もあるが、現在の学習院に旧華族社会の優秀な子弟がいるともいえない。また、以前は、大学は学習院以外に進むにしても、いったんは学習院に入る人が多かった。近衛文麿や細川護熙もそうだし、華族でなくても吉田茂、鳩山由紀夫・邦夫兄弟や官僚でも多かった。しかし、いまや学習院高等科から東京大学に進学する学生などいないし、大学ではおそらく悠仁さまの同等の学力の学生などいないのではないか。