これみておかしいなって思った人はいないかな
政府のリリースなんですけどね・・・・
男女の賃金差、最大は栃木 全国順位公表、最小は高知―政府PT
格差が最大の栃木は71.0%、最小の高知は80.4%だった。経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国の平均は約88%(21年)で、日本全体でなお開きは大きい。
↑まずこのグラフがおかしい。差があるように見せているがそれは左をカットしているからで、OECDの平均が88%の中で日本は71〜80.4なのでそもそも目くそ鼻くそでどの自治体も賃金格差が大きい。実は殆ど差が無いのです。
男女の賃金格差が大きいのは
栃木 71
茨城 72.1
長野 72.8
というのはおいといて、問題は賃金格差が小さい都道府県だ。
高知 80.4
岩手 80.3
長崎 80.2
秋田 79.9
賃金格差の小さいとされる自治体は
高齢者率が高い県ばかりが並ぶ
高齢者率ランキング
1位 秋田 39.9%
2位 高知 36.3%
7位 岩手 35.0%
9位 長崎 35.0%
つまり男女の賃金格差は高齢化率の高い都道府県で顕著に小さいということになります。ぱっと見ておかしくない??
厚労省は統計的におかしな数字を出してくるケースがコロナでもあったのだが、これってそもそも母数の部分がおかしいと思うんですよ。
そこで詳細データを探しました
実はこのデータはこちらにあるものでした。
どうして格差が生まれたのかを四苦八苦して説明しているように見えるが・・・
平均継続勤続年数の男女差と管理職に占める女性の割合で説明しようとして相関関係あるというのにはなかなか苦しいように見えます。
- 格差が小さいところは男女の平均継続勤続年数の男女差が小さく、管理職割合は高い県
- 格差が大きいところは平均継続勤続年数の男女差が大きく、管理職割合は低い県
で、説明しようとしてるが、本当か?
女性管理職の比率を見ると実は
青森、和歌山、高知が高い。逆に秋田、埼玉、石川、静岡、滋賀が低い。で、この時点で格差が小さいとされる秋田と高知がベストとワーストにいて、これはどうも関係ないように思える。
意外と驚く高齢化県は女性も働いている
しかーし!意外なことがあった。
平成27年地域における女性の活躍に関する意識調査の数字が出ていて「自分の家庭の理想は『夫が外で働き、妻が家を守ることだ』」に対し、「そう思う」又は「ややそう思う」と回答した割合は
高知 37.4%
岩手 37.4%
長崎 46.6%
秋田 40.0%
栃木 47.8%
茨城 48.4%
長野 39.0%
と、高齢化率が高くて封建的だと思っていた高知や岩手や秋田は意外と妻が家を守る派が少ないのであります(理由の推測はあとで)。
ちなみに東京は43.8%、専業主婦率の高い神奈川は47.4%、京都は46%。
女性の就業率は
となっていて一般的に大都市圏のほうが女性の就業率が低いのであります。(北海道、奈良を除く)
ここまでで厚労省の仮説「格差が大きいところは平均継続勤続年数の男女差が大きくて管理職割合は低い県」というのが怪しく感じてくる。
ワイの推測はこちら
賃金のランキングを見てみると・・・
格差が小さいとされた秋田、高知、岩手、長崎は下位グループ
格差が大きいとされた栃木、茨城、長野は上位グルーブでした。
これでしょ!!!
賃金が安い県では男性も安いが、女性をもっと安くすると最低賃金を割ってしまうから差が開きにくい。逆に賃金が高い県では高い賃金はほぼ男性が占めていて格差が広がりやすいだけということではないのか・・・・・?
そして高知や岩手や秋田はそもそも賃金が安いから、別に意識が高いわけでもなくて「自分の家庭の理想は『夫が外で働き、妻が家を守ることだ』」なんていっていたらご飯が食べられないという話なのではないか・・・・。
とりあえず最低賃金周辺の労働者の分布を見てみる。
賃金格差が小さいとされていた高知、岩手、長崎、秋田は最低賃金周辺で働く比率が高い。
逆に賃金格差の大きい栃木、茨城、長野は最低賃金周辺の人たちは少ない。栃木で真ん中よりちょい下。
はい。わたしの結論出ました。
- もともと日本の男女の賃金格差はOECDの中ではかなり大きい
- その中で格差が小さいとされる県は高齢化が進み賃金が安い
- 元々の賃金が安いから女性の賃金の差を賃金が高いところのように付けると最低賃金下回りがち
ざっくりわかりやすく書くと
こんな感じ。賃金が高い大都市圏では男性は高給与の人が多く、若い女性も多いので賃金の格差が広がりやすい。
逆に高齢化率が高く、そもそもの賃金が安い地域では同じ比率で男女差を付けると女性が安くなりすぎてしまうので格差が縮まる。
というだけではないかと考える次第です。つまり格差が小さい都道府県がなにやら努力しているようなランキングの発表であったが、そうじゃなくてもともと賃金が安い地域だからという身も蓋もない推測ですが、皆さまはどのようにお考えになりますか。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2024年9月19日の記事より転載させていただきました。