さて、また選挙です:票が流動化して結果が読めない「いきなり解散」

喜んでいるのは報道機関ではないでしょうか?立憲民主党と自民党の党内選挙に続き、衆議院の選挙と続けばネタは毎日書ききれないほど出てくるはずです。

選挙分析はまだ先だと思いますが、個人的な直感としては自民が一定数の議席を落とす一方、立憲が相当数上積みするだろうとみています。

公明は創価学会会員の長期的な凋落傾向にある中、15年務めた山口代表の存在感と氏への忠誠心がなくなり、石井代表への交代がどう影響するか読みにくいと思います。共産党も今年1月に志位委員長から田村氏にバトンタッチしており、選挙では新顔であります。そういう意味では自民、立憲、公明、共産が新指導部のもとで戦うわけですからそれぞれの代表は威信を賭けて万全の準備を整えるでしょうし、一方の選ぶ側の国民も今までの縛りが解けた状態であり、票の流動化が生まれると思います。

つまり自民党で派閥が無くなり総裁選の行方が予想しにくかったように衆議院選も国民の意向が定まらず、票が流動化すればどこにどう流れるか読めないわけです。

維新も兵庫県知事の問題で傷が癒えない状態で選挙戦に入ることになります。国民民主はコバンザメのような政党ですから自民に寄りそうのか、立憲にするのかは与野党の政策と玉木代表の打ち出す方針次第なのですが、いかんせん、その両方のトップが変わり、政策議論が全くできていない中での選挙ですから国民民主の存在感を打ち出すことに苦戦をすると思います。

最大のキーは石破政権を国民がどう評価するかが問われるのですが、評価も何も始まっていない中で「いきなり解散」ですからこれを審判し、判断しろというのも無理難題です。証拠がないのに裁判をしろ、というのと同じです。

石破茂氏インスタグラムより

まず、新内閣のメンバーですが、予想通り全く違う顔ぶれ、そして大半が初入閣組であります。おまけに石破氏の慶応大学閥でしょうか、内閣に慶応出身者が3名入閣しています。この全く新しい内閣の資質を述べよといっても政治に精通した記者ですら読めないでしょう。つまり実力は全くの未知であります。

次に干された反主流派、つまり自民党内の安倍派を含む保守派は選挙にどう立ち向かうのでしょうか?私の最大の関心は図体が大きい自民党は常に主流派と反主流派がぶつかり、選挙になると裏切りが生まれ議員は政党政治の傘の下、議員バッチに固執する姿が見えてしまうことです。

政党政治において議員になるということはどういうことか、私から言わせればメガバンクに就職するのか、地銀なのか、はたまたノンバンクなのか、という比喩が一番的を得ているのではないかと思うのです。メガバンク=自民党議員になればいつかは大臣になれるチャンスが大いにあります。地銀=主要な野党であれば国会質問ぐらいで存在感をアピールすることもできますが、絶対に乗り越えられないハードルがあります。議員を1-2名抱える弱小政党はノンバンク、つまりその影響力ほほとんど皆無であります。名古屋市市長の川村氏が日本保守党で参戦するようですので第二地銀レベルまで上げられるかが勝負だと思います。

もちろん、議員に立候補する人たちはそれぞれ熱い気持ちをお持ちですが、結局政党政治とは枠組みから外れることが許されないのです。企業に入るとその企業のカラーに染まり、その会社のマニュアル通りに動くのと同じです。自民党の反主流派はまさに出向を命じられたようなもので頭数はいれど全体のチカラにはならない、そんな組織形態にあるのです。私から言わせればムダ。タイム パフォーマンス(タイパ)ならぬポリティカル パフォーマンス(ポリパ)が不十分ということです。

ところで今回の菅VS麻生の力関係は極めて明白な対立軸を作ったように感じます。その中で菅氏が副総理になるのは自然の成り行きだとしても、どう見ても菅氏は健康状態がおかしいと思います。しゃべり方にもシャープさが消え、表情も明後日な感じでものすごく歳をとったようです。バイデン大統領よりひどいと思います。大手メディアは絶対に書かないですが、急速に悪化した感じから何か裏があると思わざるを得ないです。副首相が務まるのか、個人的には疑問を持ちます。

高市氏は敗戦後、大人げなかったなという気がします。選挙までの盛り上がりから打って変わってポツポツ批判の声も出てきており、これからしばらくは受け身の状態になるかもしれません。気をつけなくてはいけないのは「自民党の蓮舫」にならないようにすべき点でしょう。議員の人間関係は魑魅魍魎、下心満載ですから。

衆議院選挙で票がばらける可能性がある場合、自民党が過半数を維持するために誰と連立を組むのか、最終獲得議席数で様々な憶測が生まれるでしょう。現状、中道左派寄りの自民党ですから立憲との違いをどう表現し、野田氏とタヌキの化かしあいをするのか、お友達になるのかを含め、現時点ではあらゆる選択肢を否定できないと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月2日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。