ビジネス書は中身の薄い派手本に注意しよう

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全国出版協会・出版科学研究所は、2023年(1~12月期累計)の出版市場規模を発表しました。紙と電子を合算した「出版市場の推定販売金額」は1兆5963億円(前年比2.1%減)となり、2年連続の前年割れとなりました。市場ピーク、1996年(20年前)の2兆6563億円から約6割に落ち込んだことになります。

中身のない派手本に注意しよう

ビジネス書は自分の知識やスキルを向上させるための有益なツールですが、なかには品質の低いものや、実際に役に立たないものもあります。特に、ビジネス書を選ぶときには、内容の薄い派手本に注意してください。

最近の本は、カバーデザインや色のバリエーションが豊富です。書店で少しでも目立たせるために原色カラーを用いたり、凹凸のあるエンボス加工をするものも少なくありません。見た目が魅力的なのはいいのですが、内容がともなわない、派手なタイトルや帯だけに惑わされないことが肝要です。

タイトル詐欺にも注意しましょう。ビジネス書はヒットした作品があると、コピーした類書がわいて出てくる傾向があります。「〜が9割」「〜がよくわかる本」etc.……2匹目 のドジョウは滅多にいません。タイトルは大事ですが、タイトルだけで売ろうとする本にも注意してください。

さらに、帯には、「仕事の効率が100倍アップ」「誰でも簡単に億を稼ぐ」「たった1分で人生激変」といった刺激的なフレーズが使われているものがあります。しかし、これらはあくまで読者を引きつけるための宣伝文句であり、本の内容や品質を保証するものではありません。

実際には、深みのない自己啓発や成功哲学、ライフハック系の本が多く、読んでも毒にも薬にもならない場合があります。そのため、タイトルや帯だけで本を選ばず、中身や著者の経歴などをチェックすることが大切です。そのなかで長く読まれ続けている定番の本を読むようにしてください。

多くの人から高い評価を得ている本は、その分野の基本や普遍的な真理を教えてくれるものが多いです。何を買って読むかは個人の自由ですが、同じジャンルに飽きてしまった場合は、自分の得意ではない分野や新しいトレンドに関する本にも挑戦するのもいいと思います。

読書は知識や感性を高めます。目的や興味に合わせて、レビューやサンプル、複数の本を参考にしてください。内容の薄い派手本には注意し、新しい分野の本にも挑戦してください。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)