片付け本を読んでも片付かない理由

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部屋を片付けるときには、どのような意識で取り組むべきなのでしょうか。部屋を片付けるために必要なヒントを解説した本を紹介します。

家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法」(SBクリエイティブ)

[本書の評価]★★★★(90点)

【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満

散らかった部屋を片付けるコツ

最近、「ケアタスク」という言葉を目にすることが増えました。介護の領域で使用されていた言葉ですが、最近では生きていく上で必要な「家事」として解釈されています。

いまや、「片付け」はヒットテーマとして知られています。通販サイト「アマゾン」で「片付け」と検索すれば数千冊がヒットしますが、最も有名なのが「人生がときめく片づけの魔法」(近藤麻理恵/サンマーク出版)ではないかと思われます。著者の近藤さんは2015年、米国のTIME誌で世界で最も影響力のある100人にも選ばれています。

素晴らしい本であることは間違いありませんが、スピリチュアル感にあふれていることから違和感を覚える人も少なくありませんでした。一方で、女性を中心に熱狂的に支持をされて「ときめき」を感じながら物を捨てるようになる人が増加しました。

私は、中学生の頃からギターをたしなんでいます。弦や音叉(おんさ、調音器のこと)などに「ときめき」を感じることはありません。ギターを弾いているときに「ときめく」のであり、他の物に「ときめき」を感じることはありません。

車も同様です。愛車に「ときめき」を感じますが、工具に「ときめき」を感じることはありません。これは、人によって思考の差異が存在するからです。

「片付けの魔法」で部屋は片付いた

冒頭、ケアタスクについて述べましたが、これは、料理、掃除、洗濯、食事、食器洗い、衛生管理などのタスクを意味しています。しかし、これらのケアタスクに費やされる時間、体力、スキルを分析すると、単純な作業ではないことが分かると思います。

あなたが風邪をひいている状態だと仮定しましょう。健康のために、ほこりがたまらないように部屋をキレイにすることに努めるはずです。他にも、衣類のしまい方や、ペットを飼っているなら、ペットの毛が衣類に付かないように心掛けると思います。

あなたに大勢の家族がいて、日々の洗濯にストレスを感じていると仮定します。一人一人の衣類を選別することは大変です。そうであれば、家族全員の衣類を大きな部屋(クローゼット)に入れて各自で持っていってもらった方が効率的と言えます。これで、全員の洗濯物を分別するためのストレスからは解放されます。

次に洗濯物の管理です。ハンガーでつるしておく方がいいという人もいれば、畳まないと落ち着かない人もいます。大切なことは、人それぞれだということ。片付けには魔法などはなく、自分の習慣に合わせたシステムづくりをすることに意味があるということです。

片付け本に気を付けよう

多くの片付け本には、「システムに自分の習慣を合わせるべき(もしくは修正すべき)」と掲載されていますが、ストレスを高めるだけでよい方法とはいえません。片付けがうまくできないのは、システムが自分に合っていないからです。

片付けには「呪縛」があります。縛られ過ぎると身動きができなくなります。この折り合いがうまくつけられないと、心身ともに疲れ切ってしまいます。あなたは片づけが得意ですか?この機会に見直してみましょう。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)