S&P 500は更にじり高が続いている。
先週の記事は、
「テクニカルというよりはVIX周りの挙動を観察しながら随時判断する局面になりそうである。指数急騰と共にVIXも一段と上昇するような分かりやすい雑なコール買いケースがあれば売りとなるが恐らく期待薄であり、指数が動かなくても例えば欧州時間からVIXのブローアップが止まらないケースを次にチェックすることになるか。ただそれらが実際に起きるまでモメンタムは上向きになっており、5687より上の範囲内の調整は引続き押し目と判断されるだろう」
「9月末以降の中国の一連の経済対策は間違いなく(中国自身はともかく)米国の景気後退リスクを低減させたが、今度は中国株の大きな値動きに引きずられないかにも要注意となる」
としていたが、高止まりしたVIXは特に悪させず、またしてもリアライズドVolが上がらないまま週末を迎えそうになると週末にクラッシュした。
たまたまであるが中国株がクラッシュした火曜は米株もASMLの1日早い決算リーク騒ぎでナスダックを中心に大きく調整した。ASMLの低調な受注と業績予想下げを受けて半導体を中心にナスダックが大きくクラッシュし、これまで積み上がったナスダック100先物ポジションが一斉に解消された。
その後はTSMCが続き、ASMLが滑ってからTSMCの好決算でセンチメントを好転させるという、最近のパターンが繰り返された。そこで売りが枯れるとナスダックは再び浮かび上がっているが、半導体指数自体は週末まで重かった。
USIGは景気後退懸念の剥落と共に歴史的なタイトさに来ている。リスク資産のバリュエーションへの反映は長期金利上昇にオフセットされるものの、いずれにしろ、景気的な意味で懸念がないのは株式市場のみではない。
ようやく流れてきたGS CTA。売った分を買い戻した後であることは皆知っているが、結局指数が下がらないので、クラッシュしないシナリオでは買い増しやすくなっている。よくあるパターンである。
DBのシステマティック勢ポジションはもう少し早いタイミングのものなのもあってGSの観測ほどは買い戻しが進んでいない。コールも盛り上がっていない。
BofAのディーラーガンマは引続き深いポジティブ域にある。ウォールが徐々に切り上がりつつ、5900に位置する。6000が徐々に視野に入ってきているが、5900台を急騰で通過とはなかなかならないだろう。
より中長期的に。バンカメのFMSは現金が大きく減ってセル・トリガーの4%を下回っている。
EPSコンセンサスはどの年も下がり続けており、それがロールアップと釣り合って概ねフラット、という構図が続いたが、2024年と2025年分のEPSコンセンサス自身も下げ止まり始めたように見える。
インサイダーは徐々に売りに傾いている。
NAAIMはASMLショックを受けてか、連日の過去最高値更新にもかかわらず悲観化している。NAAIMだけ見ると買い場にしか見えない。
シーズナリティは週単位でクリスマス・ラリー直前というタイミングになっている。もっとも9月以降シーズナリティはあまり効いてこなかったことに要注意である。
決算シーズンはテスラでマグ7が始まる。マクロ的には大したことない週なので、残る注意点は地政学リスクのヘッドラインか。
テクニカル。週足は3本目の下ヒゲ陽線となり、週足サポートが5804まで上昇する。VIX高止まりの解消が続いており、それが指数の押し上げ圧力になっていると思われるが、イントラデーでは上値での売り圧力も続いており、そこそこの規模の日足陰線も散見される。
大統領選を前にした過剰ヘッジを嘲笑う値動きが続いているが、そうは言ってもいよいよ日にちがなくなるにつれて上値での戻り売り圧力が重くなるのは納得できる動きでもある。今すぐじり高局面が終わることにベットするほどではないが、仮に5804がブレイクされればそれまでの過去最高値が週足レジスタンスに転じるだろう。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2024年10月20日の記事を転載させていただきました。