日本で繰り広げれる衆議院選は第3コーナーをまわり票読みが始まりました。一方、アメリカの大統領選もトランプ、ハリス両名の接戦から目が離せません。2024年選挙イヤーでは全般的に与党の惨敗、政権交代という流れが強いと以前申し上げましたが、ここカナダ、ブリティッシュコロンビア州の州議会選挙がこの週末、行われました。まずはそちらの方がどうなったか、皆様と共有したいと思います。
現与党は中道左派の新民主党。コロナ期を経たこともありバラマキの印象がかなり強かったものの都市部を中心に移民層が多いため、政権のかじ取りを担っています。一方、対抗馬とされたのが自由党だったのですが、紆余曲折を経てこの週末に行われた選挙には党として誰も出ないこととしました。そのため、受け皿となったのが党として120年以上の歴史を誇りながらも最も無名な「保守党」です。なぜなら保守党として最後に議員を送り出したのが1975年の選挙ですから名前すら知られてない状態だったのです。
結果はどうなったか、といえば93議席(過半数47議席)をめぐる戦いで与党新民主党は46、保守党45、緑の党2です。これだけではありません。新民主党で当選した2名は保守党候補と票差が100票以内(うち1選挙区はわずか23票差!)なので規定により票の再カウントになり、一週間先まで結果がわかりません。更にかつて新民主党と連携しキャスティングボードを握る「緑の党」の党首が選挙区鞍替えをしたものの落選してしまい、緑の党の方針が全く見えません。ニュースでは歴史的事態と大きく報じられています。そりゃそうです。どちらが勝ったか全く見えず、キャスティングボードを握る緑の党の行方もよくわからないのです。
私は開票結果が出る頃合いの夜9時過ぎに懇意にしている大臣の選挙事務所に伺いました。既に「当確」が出ていたので本人には「おめでとう」と申し上げましたが喜びはありません。併せて隣の選挙区で初の立候補をした若手韓国系カナダ人君もしばらくして「当確」がでて事務所内は安どの雰囲気。大臣と若手君の当選スピーチも遠慮気味で「皆さんのご協力のおかげで…」に留まります。翌日の日曜日に再度選挙事務所で選挙ボランティアのねぎらいの会があったので顔を出しその2人や選挙戦チームの方々と話をしたのですが、保守党サイドの偽SNS情報や人々の「政権交代の雰囲気醸成」に翻弄されたと笑顔ひとつ見せませんでした。
つまり現与党がひっくり返されるアノマリーはここBC州でも起き、1975年の選挙以来議席がなかった保守党が衝撃的な結果を残したのは人々の行動規範が我々の常識を完全に覆しているともいえるでしょう。
さて、衆議院選ですが、私は以前から自公の過半数割れはありうると以前から申し上げているのは世論調査でも票読みでも出口調査でもないのです。社会が今「チェンジ」を求めているのです。それはオセロゲームで黒と白の色が入れ替わるぐらいの極端な変化であります。政策というより「新しい切り口」だとみています。
どこまで信用するかは別ですが、報道各紙が総力を挙げる票読み調査では自公過半数割れの公算は高まっています。立憲が50議席程度増となれば150議席で190議席前後の見込みの自民といい勝負になります。他に伸ばすのが国民民主で現議席7から20ぐらいまで伸ばすのでしょうか?参政党は伸びず、日本保守党が数議席確保しそうです。日本の場合、野党がバラバラで票もばらけるので本気で打倒自民とするならまず国民民主を立憲が取り込めるかがキーになりそうです。維新は独立独歩的な流れですが、いずれ踏み絵をさせられる可能性も出てくるとみています。
私が予想する日本の選挙結果はやはり「チェンジ」だと思います。そして石破政権発足の時、私は「サプライズになる」と申し上げました。選挙結果次第では本当のサプライスが待ち受けるかもしれません。
最後にアメリカ大統領選挙ですが、世論調査では1%前後の差でハリス氏リードとなっていますが、実態としては激戦州でトランプ氏がリードしている感じですし、アメリカをどうしたいか明白なメッセージとストーリーがあるトランプ氏の方がわかりやすいと思います。8年前、あるいは4年前の「トランプ好き嫌い」というイメージ論争が薄れている点において「嫌トランプ派」が少しでも機嫌を直せば勝負あったとなるのではないでしょうか?
ところで石破氏とトランプ氏の会談って私の頭の中で絵が描けないのです。全然かみ合わず、トランプ氏が機嫌を損ねるような気もします。多分そのあたりが石破氏にとって最大のハードルになってくるでしょう。アジアの安保どころではなく、日米安保を根本から揺るがす話になれば早期辞任、首相(ないし総裁)の選びなおしというのが私の現時点での見立てです。
少なくともこの衆議院選挙における有権者の一票は大変重いものになると私は考えています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月22日の記事より転載させていただきました。