日本人サラリーマンの低すぎるやる気を高める方法

黒坂岳央です。

アメリカのギャラップ社が実施しているエンゲージメント・サーベイによると、仕事への熱意の値で日本はたったの6%で90カ国中で最低水準となった。つまり若者世代だけでなく、日本人全体的にやる気が低いといえる。

どうすれば解決できるのか?

やる気が低いのは危機感がないから

やる気の低さについて、色んな人が様々な意見を出している。ひとつには「危機感がないから」といえるだろう。

筆者はかなり長い期間サラリーマンをやって色んな会社でそこで働く人達を見てきた。やる気がない人も、やる気が高い人もいた。やる気が高い人は総じて危機感を持って仕事をしていた。

自分が勤務していた外資系のCFOは「自分は雇用が不安定な契約社員みたいなものだから、コミットメントを達成できなかったらクビになってしまう。毎年、余裕なんてなく本当に死に物狂いだよ」といっていた。そして彼の日頃の仕事は本当に成果を出すために必死だったように見えた。

また、ある時重要な会議に呼ばれた同時通訳者の外国人女性は、会議室の前で胸の前で十字架を切っていた。後で聞いた話だが、うまくやらないとクビになるかもしれないのでプレッシャーからそのように祈りを捧げたということだった(ちなみに無事にうまくいった)。

その逆にやる気がない人はどうだろう?それはまさにこの逆に危機感がない。たとえていうなら、野生動物を動物園のオリに入れて牙が抜けてしまったような感覚である。餌はしっかり与えられるが、もはや野生を忘れて死ぬ気で獲物の喉笛に噛みつくようなエネルギーはないように見える。

やる気がない人のすべてがそうだと暴論は言わないが、頑張らなくてもクビにされるリスクがなく、逆に頑張れば担当業務量が増えるなら努力家体質の人ほど、やる気が出るわけがないのだ。

転職で状況が変わる

ではどうすればいいか?結論、「努力が報われる」という希望を「自分で」作ることだ。

そこで多くの人が反発することに「努力しても評価されない。昇給してくれない」というものだろう。だが、この考え方は会社に期待値が高すぎる他責であり間違っている。これはアメリカでも同じ事情だが、基本的にサラリーマンが給与を高めるには昇給ではなく、転職時に高額オファーを引き出すことが基本だからだ。

給与アップとは、人知れず頑張っていれば自然に引き上げてもらえるものではなく、自らリスクを取って労働市場にスキルの価値をPRし、新天地でさらに高い結果を出すことて獲得するものだ。

仮にものすごく努力をしてスキルをつけているのに、正当な評価をされず市場価格と乖離して安く買い叩かれているというならすぐに転職をすればいい。本当に付加価値の高いスキルや努力をしていたなら、たちまち価格は是正されスキル相応の給与を提示されるはずだ。「日本企業は給料が安い」と言われがちだが、収益率の高い業界へいったり、外資系企業なら事情も違う。筆者はサラリーマン時代にそれをして年収200万円アップで転職できたし、親族は500万円アップで転職を実現できた。給与アップを希望するなら昇給ではなく、転職するのだ。

ここで問題なのが「本人は努力したと考えている頑張りに、市場価値が付帯しているか?」ということだ。こんなことをいうと怒り出す人が出てしまいそうだが、世の中は甘くない。顧客、雇用主が価値を感じない頑張りは厳しいが「自己満足」でしかない。

また、あくまで勤務先にしか通用しない、たとえば社内政治や社内人脈は転職先に継承できないので、「そこだけ」にコミットすることに時間を使っていたなら残念ながら「努力の方向性を間違えていた」ということになる。その場合は今すぐ、「労働市場で評価される努力」へ方向を変更するべきだ。そしてキャリアの価値は「実務経験」がものをいうので、転職を前提として現職の仕事をすると「今の職場でできるだけ大きな結果を出したり、深い経験を積んでそれを実績に転職の武器にしよう」と考えるようになり、現職でやる気を出して手土産になる結果を出そうという意気込みになる。

人間、努力が報われると感じたらやる気なんて意識せず、がむしゃらにできるものである。やる気がないのは努力が認められず、危機感がないからだ。さすがにノーリスクで頑張りを認められるような構造に世の中はなっていないので、今すぐ市場価値の高いスキルを身に着け、リスクを取って転職をすれば死ぬ気で頑張ろうと思えるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。