負けてないと思っている石破茂
立憲民主党を筆頭に、野党が躍進した今回の衆院選だったが、総括すれば自民党の自滅の一言に尽きる。
政治資金規正法上の不記載問題について、石破茂は対象の議員の非公認、党籍剥奪等、厳しい処分を課し、自民党離れを防ぐため躍起となった。しかし、巷間指摘されているように、無党派層が自民党に三行半を下した結果となった。加えて、自民党支持層からも、支持を得られなかったのが結果的に56議席を野党に譲る結果を産んだ。
一方で、議席を減らしたことによる将来的な設計図として、前回の拙稿でも触れたように、自民党は首班指名を取りに行くことで政権維持を図る。しかしながら、行先は暗澹としていて、当面、来年の参議院選挙で今回同様の体たらくを見せるわけにも行かず、石破茂お得意の改革路線の維持は望めそうもない。
石破茂は、自民党の不信を増長させたという点で、まさに改革に着手したことになるのは、これも前回の拙稿で触れた。自民党を弱体化させるのが石破茂の使命であり、本懐だった筈だ。長年、自民党内にいながら時の政権批判、特に安倍晋三体制を批判してきたのだから、結果に一番満足しているのは石破茂だろう。
それのみを宿願としてきた彼は、自民党の支持は落ちても、自分の人気は維持されると思い込んでいた。自民批判を繰り返してきたメディアも、自民党の凋落は批判しても石破茂批判は起きないだろうから、自分はこれからも総理総裁でい続けられると思い込んでいる節がある。だから、総理総裁の立場に固執するのだ。
今回のような結果を踏まえれば、当然、トップが責任をとるべきなのだが、厚顔無恥な石破茂は、辞める気などサラサラ無い。それが自民党の信任を回復させる為、全力を尽くすという美辞麗句で自分は悪くない論に終始する姿に現れている。
自民党が信頼回復させるには、国民からの不人気を得ている石破茂を交代させる以外に無いが、今のところは打つ手なしの状況だ。
石破茂を貶めたい森山幹事長は、石破茂をトップの座から自分諸共引き摺り下ろす為、敢えて汚名を被りながら執行部に残る選択をした。つまり、石破茂にノーを突き付けるのが森山幹事長の使命だと考えているのではないだろうか。森山幹事長は将来の自民党を背負う小泉進次郎を、石破茂諸共凋落させるわけにはいかないと考えたのだろう。
政治資金規正法上の不記載問題があったとはいえ、仮に高市早苗総裁だったら、小泉進次郎総裁だったら、今回の衆院選の結果は大きく違ったものになっただろう。
以前も指摘したが、自民党総裁選で石破茂が選出された時から、今回の衆院選大敗の結果は見えていたのだ。
野党は躍進したのか?
では、そんな自民党に比して野党はどうかと言えば、ただ自民党不支持の結果、議席を得たに過ぎない。
今の野党で政策面で自民党と互角か、場合によっては自民党の政策を凌駕するものを提示できているのは、国民民主党くらいのもので、あとは似たり寄ったりだ。一部には、今回の衆院選で日本維新の会の躍進を期待した支持者もいるようだが、結果的に議席を減らしてしまった。
第三極として期待されてきた日本維新の会であるが、強固な地盤を持つ関西圏以外では目立った候補者はいない。これは政策面での弱さを物語る。本来、自民党が弱腰の選挙を行えば、そこに商機を見出すのが政治の倣いだが、日本維新の会に風は吹かなかった。それは政策面の弱さの表れだ。
自民党支持層離れが加速すれば、当然、有権者の保守層の取り込みが必須となるが、そこで差が出たのが今回の衆院選であり、議席数を4倍に増やした国民民主党との違いは政策面だけだったと言ってもいい。より有権者の生活実感に近い具体策を打ち出し、現実路線で政治を変えようとしている国民民主党に負けた。
勿論、広報戦略の違いも大きかったと言えるが、有権者は、最後はワンイシュー、具体的政策で政党を選ぶものだ。つまり、分かりやすく生活に直結した政策を打ち出した政党、正攻法で有権者目線の政策を打ち出した政党が勝つことを、今回の衆院選は見せつけたと言ってもいい。
その意味で、同様にれいわ新選組が議席を伸ばしたのも、具体策を打ち出したからだと言えるだろうか?しかしこの場合は、私は違うと考えている。
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以後、
・「れいわ新選組」は躍進していない
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。