国民民主との『部分連合』は次善だがやむを得ない理由

自公と国民民主党のあいだで、部分連合の話し合いがされている。はたして長期的にどうかは別だが、さしあたって国政を麻痺させないためには、やむを得ないことだろう。

フランスはもっとひどいが、総選挙の結果、過半数を得た政党連合がない場合に、議院内閣制は正常に機能しない宿命だ。それなら、国民民主が本格的に連立入りするのかといえば、国民民主にとってメリットがあるとは思えない。

石破首相の党内基盤が弱すぎて、支えるに値するとは思えないし、国民民主の玉木代表への評価が高く、次の総選挙で国民民主党が躍進すれば、野党連合の首相候補になりうるのだから、閣僚ポストを少しもらった程度で、閣内に入る意味が無い。

玉木・国民民主党は連立入りでなく非自民首相をめざせ
自民党支持者は、自民単独過半数は絶望的、自公のそれも怪しいという状況にあって、「国民民主党か維新の連立を求めたら乗ってくるだろう」とか楽観的に構えている人が多い。保守系の人で比例で今回は自民に入れたくないなら、公明に入れるべきだし、実際、重...

もし、玉木氏が連立に加わるのなら、首相ポストをとり、かつ、かつての自社さ体制のように、公明を含めた三党がほぼ対等の発言力をもつようなかたちに要求する。また、それに麻生氏や茂木氏など自民党内の保守派がそれに賛意を示す場合くらいか。

立憲民主党などは、国民民主の部分連合入りを批判しているが根拠がない。「石破政権を拒否した国民の意思に反して」とかいっているが、それは間違いだ。

石破首相は総選挙で敗北したのでなく、せいぜい勝ったとはいえないというのが論理的だ。敗北というのは、自公に代わる政党連合が過半数を占めた場合のことだ。まとまりのない野党をすべて合計したら自公より多いというのが野党勝利を意味しないし、従って与党敗北でない。石破退陣が民意と野党がいうのは虚偽だ。

もちろん自民党の反主流派が、責任をとれというのは自由だが、とりあえずこのまま、首班指名選挙をして、新総裁が両院議員総会で選ばれていない限りは石破氏が辞めないなら石破氏で行くしかない。

そういう筋論を押さえた上での退陣要求であるべきだ。もちろん、私も石破氏に辞めて欲しいが。共同通信社の世論調査で。石破内閣の支持率は32.1%。当選した議員を要職に起用することに79.2%が反対。

望ましい政権の枠組みは「政界再編による新たな枠組み」が31.5%、「立憲民主党を中心とした多くの野党による政権」は24.6%。「自公に日本維新の会などを加えた政権」が19.3%で続き、自公の少数与党政権は18.1%。石破茂首相が辞任すべきだとの回答は28.6%にとどまり、辞任は不要が65.7%。

どうみても、高市総理待望論なんか、国民の間にはない。裏金議員への処分が重すぎたから自公は負けたといっても説得力は無い。石破首相のまま自公政権が国民民主と加えた政権は、そんなに国民の意思に反したわけでない。

自民党内の保守派が、石破氏に退陣要求をするのはあってしかるべきだが、とりあえずは、強硬突破でなく、国民の信頼が回復しなければ参議院選挙前にもというくらいか。高市氏にチャンスがあるとすれば、不満ながらも石破首相を支えて、殊勝なところをみせないと、石破氏が退陣に追い込まれても、両院議員総会で選ばれることはあるまい。

また、保守派は、石破氏に退陣を求めているが、彼らはそのあと両院議員総会で選ばれた新総裁が誰であっても不満をいわず従うというべきだ。それがいやなら党を出ていくしかないではないか。