自民党支持者は、自民単独過半数は絶望的、自公のそれも怪しいという状況にあって、「国民民主党か維新の連立を求めたら乗ってくるだろう」とか楽観的に構えている人が多い。保守系の人で比例で今回は自民に入れたくないなら、公明に入れるべきだし、実際、重複立候補ができない候補の選挙区ではそういう動きもあるが、日本保守、参政党、国民民主、維新などといった野党に投票する人もいるようだ。
しかし、石破総裁に投票した半分以上の議員への落選運動までして、立憲民主党などの野党候補を実質支援している幹部までいる日本保守党の政権参加などありえないし、国民民主や維新についても現実的でない。また、あったとしても、短期で終わるだろう。
最大の理由は、次期総選挙での候補者調整が不可能なことだ。公明党はわずか11の選挙区で公認候補を立て自民党の推薦を得ている。
ところが、維新は289選挙区のうち163人、国民民主党は41人の候補を小選挙区で立てている。もし、連立を自民と組んだら、彼らをお払い箱にするのか? いくらなんでもそんな冷たいことできまい。
自民党は中央集権でなく、地方ボスの連合体である。だから、小選挙区で候補者を立てないわけにはいかない。公明党にわずか11の小選挙区を譲るだけでも地元からたいへんな抵抗にあった。
ましてや維新の163はもちろん、国民の41でも到底受け入れられない。したがって、連立を組んでも次期総選挙では対決するという変なものになり、永く続けるわけにはいかないことになる。
自公連立が民主党政権のもとでも関係を維持できて、安倍元首相が「風雪に耐えた連立」と称賛した深い信頼関係とは大違いだ。
逆に、私は野党がここ数年内に政権をとるとすれば、玉木雄一郎首相しかないと思う。維新も首相候補はもたないし(吉村知事が万博後に中央政界復帰したとしても即戦力とはいえまい)、立憲民主党の野田佳彦なんぞは、首相時代の体たらくとその後の努力の欠如をみたらつとまるはずがないし、若い人材も育っていない。
だとすれば、野党が政権をとるとすれば、玉木首相のほかに適任者がいるとは思えない。玉木氏は民進党の代表選挙に出馬した八年前からみてきたが、まことに成長著しいし、若い人の受けもいい。
今回は、立憲民主党の票を吸収して、立憲民主党や維新と対等に互すようになってほしい。玉木雄一郎を首相候補として、立憲や維新も協力する自公連合に対する選択肢は、とりあえず現実的なただひとつの政権交代の可能性だと思う。
私は、今回の選挙は、自公ができれば無所属とか日本保守党、参政党などややこしい人たちをあてにせず、なんとか過半数を維持して、一方で野党では民主党政権の悪夢からさめていない立憲民主党が伸びることを最小限にして、維新が踏みとどまり、国民民主が大躍進してくれることが、健全な自公政権の代替選択肢を用意することになると思う。
これまで、自民党は旧新進党や旧民主党の有望株の議員を吸収しては政権を維持してきた。その結果、総裁選挙を旧新進党の二人の決選投票というみっともない状況になった。
もう自民党も、もともと旧民主党も維新、さらには保守党や参政党からも原則、受け入れず人材を育てるべきだ。
自民党で地道に努力している地方議員が、風に乗って当選して国会議員になった元野党議員に阻まれてチャンスを失っているのは、まことに心苦しい。
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