黒坂岳央です。
これまでビジネスを通じて数多くの人と会話をしてきた。たまに「この人は普通とは違う」という予感のする人に会うことがある。自分の眼力は非常に優れている、などとはいわない。だがその感覚があたって大きく花開くのを見ることがある。
完全に独断と偏見だが、取り上げたい。
話がすべて事後報告
仕事柄、仕事の進路や勉強、人生相談を受けることが多いのだが、ほとんどの場合「こうしようと思うがあなたの意見はどうか?」というこれからの進路について評価や改善提案を求めてくることが多い。これ自体は何も問題はないし、それを聞いてその時自分が言える精一杯のアドバイスをしてきたつもりだ。
このようにほとんどの人がこれからの進路についての相談であるのに対して、成功の予兆を感じさせる人は違う。「自分なりにこのように考えてこうした結果が出ました」と事後報告なのである。とにかく行動力が凄まじく高く、「まず小さくやってみる」という行動をするのだ。
以前、大学を卒業したばかりの20代前半の若い女性と仕事の話になった。彼女の話や経歴を聞いていて非常に優秀で頭が良いが、集団行動や空気を読むことが学生時代からとても苦手という話だった。このような優秀な人は独立してうまく仕事を楽しめれば、伸び伸びと能力を出せると感じたので「世の中には就職以外にもいろんな道があり、独立起業という選択肢もある」ということを伝えた。
次回、再び話をした時、彼女はその後すぐに勤務先をやめて、今は実家に戻って独立してビジネスをスタートさせていた。自分としては何も具体的な話をしておらず、あくまで世にある多様な働き方の選択肢を示しただけだったのだが、彼女のとてつもない行動力に驚かされた。その後ビジネスの売上は順調に拡大しており、実家で生活をして資金の枯渇もないようだ。「あの時、独立の話をしてくれたおかげで今とても満足している」と嬉しそうにお礼を言ってもらえた。
この人物に限らず、成功する予感のある人は行動力がケタ違いなので、「これからこんなことをしようと思っている」ではなく「こうしたらこうなった」という事後報告のみという特徴がある。
リスクを取る
これは言うまでもないが、これから成功する人はリスクを取ることをまったく恐れない。
ここで言うリスクとは必ずしも大金が動く話ではなく、「やってみて成果が出ないかも知れない」という時間的なロスを含む。「あんなこといいな、できたらいいな」とドラえもんの歌の歌詞のような願望を持つも、「しかし、やってできなかったら時間と労力が無駄になる」と恐れて行動しない事が多いのではないだろうか。
しかし、やってみてうまくいかないことを恐れていては極端な話、何一つ新しいことはできない。筆者は毎日楽しく仕事をしているが、その10倍以上はやってみてうまくいかず潰した仕事が背景にある。だが、最初から今の仕事を掴むことができなかった。数十個の事業をやってたまたま残ったのが今やっている仕事であり、失敗した事業は今の仕事に行き着くための「必要経費」という考え方なのだ。リターンを求めるなら、当然リスクを受け入れる必要がある。
よく「成功するには知名度や才能、経験が必要なので、何も持たない者はその挑戦する権利すらない」といった話があるがこれは間違っている。
持たざるものであっても時間と労力は生まれつき資本として与えられているのだから、むしろそれを余すことなく差し出して積極的にリターンを取りに行く気概が必要だろう。逆にすでにある程度、ビジネスの成功を収めている者こそ新規事業には慎重になる。なぜなら彼らはすでに既存ビジネスを持っていて、新規事業でうまくいかなかった時間やエネルギーを既存ビジネスに投下していたら確実なリターンが見込まれるトレードオフにしばられているからだ。
新規で挑戦してダメなら即撤退してまた新規、これを当たるまで高速でテストできるのはむしろ、トレードオフのダメージが小さい持たざるものの特権と言って良い。厳しい事を言うと、持たざるものが時間や手間暇を惜しむようでは話にならない。
成功することしか考えていない
最後に、成功の予兆を持つものは「うまくいかなかったら…」「失敗してしまったら…」という発想はない。彼らはうまくいくこと以外何も考えておらず、それ故に失敗が見えないので何でも挑戦するし、仮に年単位でうまくいかなくても成功するまでしつこくやり続ける。だからどれだけ要領が悪くても、結局最後は成功を引き当ててしまう。
「挑戦者がやぶれるのはライバルに敗北するから」と考える人がいるがそうではない。確かに競合他社との顧客争奪戦に負けて利益を出せなくなって撤退というケースは存在するが、それはその市場に強い存在感を放つ一番手、二番手というレベルだ。
だが自分を含めてほとんどのプレーヤーはライバルどころか、一般認知されていない小さなビジネスの事業者、挑戦者であり、マーケットに認識されていないので意図的に潰してくるようなライバルは存在しない。そのため我々のようなスモールビジネスオーナーにとっての最大の敵は「諦める」という自滅だけなのだ。
だが自分の成功しか考えていなければ諦める選択肢はない。諦めなければずっとやり続けることになるから、理論上負けはないのだ。
◇
成功する人は成功する前から必ずと言っていいほど、普通ではない「予兆」を放っているものなのだ。
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