国民の意識との乖離
朝日新聞に、誠に残酷な記事が出ていた。
国民民主党が与党と協議するのに賛成の人が実に63%に上ったのだ。逆に立憲民主党を含む野党と協議すべきというのは23%にとどまっている。
これは、端的に言って、国民民主党の政策は与党との協議を重ねなければ実現不可能という意味だろう。少なくとも国民はそう思っているということだ。
この結果は、立憲民主党などアテにならんという意味も含む。というのも、国民が疲れ果てているのは、政治的イデオロギーばかりを推し進める立憲民主党や日本共産党は頼りにならんという意味でもある。そして、もっと残酷な意味は、政権交代の必要性を国民は持っていないということだろう。
小川淳也立憲民主党幹事長は、与党とも野党とも与しようとしない国民民主党に対し、あからさまな不快感を示したようだ。
日本維新の会と国民民主党が首班指名において比較第一党の自民党と野党第一党の立憲民主党に投票しないことは、70票が死に票になってしまうとの主張だが、これは国民目線で見た時、少し的外れな主張と言えないだろうか?
そもそも、与野党のどちらにも与しない判断をした両党は、それぞれに思惑を抱えていることを理解した方がいいだろう。立憲民主党は最初から、今回の衆院選の結果を受け政権交代を目指しているが、日本維新の会と国民民主党は、政権交代を目指していはいないと明言している。
立憲民主党が政権を取りたいなら、首班指名で日本維新の会か国民民主党のいずれかの代表に投票すれば政権交代は実現する。そこに踏み込まないのは、単純に連立政権では立憲民主党の存在感が薄れ、政権交代が目的の数合わせはいずれ国民からの支持を得られなくなることを見抜かれているからだ。
日本維新の会は、連立政権の実現は模索してはいるだろうが、しかし今回の衆院選で議席を伸ばすところには至っていない。
自民党が自滅した選挙において、議席を伸ばせない政党は、国民の政権選択選挙から対象として外されたことを意味する。この残酷な結果を受け入れられない馬場伸之日本維新の会代表に対して、党内での馬場代表降ろしの風が吹き荒れており、近く代表選が行われる公算だ。以前から馬場執行部への批判は根強くあり、地域政党から国民政党へと脱却する為には、馬場代表では力不足だとの見方が強かった。
自民党が自滅した今回の選挙で、一気に与党連立に向けて機運を高めたいと考えていたところに、衆院選の敗退は、党への風当たりを強める結果になったことは、馬場代表の思惑が大きく外れたことになる。
衆院選で負けたのに、胸を張って連立政権だの政権交代だのと言ってはいられない。むしろ、比較第一党の自民党に対して精一杯の影響力を残すとすれば、首班指名で石破茂自民党総裁の名前を書かないくらいのことしか出来ないのだ。
一方、四倍の議席数に躍進した国民民主党が、首班指名で玉木雄一郎に固執するのは、背後に大きな国民からの期待感を背負っているからだ。ましてや、選挙中も連立入りではなく与党に対して政策を受け入れるよう求めてきた。
玉木雄一郎国民民主党代表は、一貫して衆議院21議席にこだわってきた。それは、政党が法案提出する条件が衆議院での20議席以上だったからだ。それが期待を大きく超えて28議席に躍進したのだから、玉木代表が首班指名で自民党にも立憲民主党にも与しないと公言して憚らないのは、法案提出が出来る立場になったからだ。
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以後、
・政権交代が必要ない理由
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。