石破氏の手腕を見てみましょう:2か月以上の政治空白を埋められるか?

石破氏が首相指名選挙をものにし、ようやく本格始動しました。こういっては何ですが、自民党総裁選が9月27日でしたので総裁選挙戦もいれれば2か月以上、政治空白ができたことになります。日本が抱える問題が山積している中でもったいない2か月だったと思います。

指名を受ける石破首相 首相官邸HPより

そして出来上がった政治の枠組みは予想されていたこととはいえ、かつての野党と鋭く対立しながらも堅固だった与党体制から「みんなの政治」にすっかり変身してしまいました。

衆議院常任委員会の委員長ポストは17本のうち、8本が野党に流れ、予算委員長から政治改革委員長、法務委員長など重要ポストは野党に持っていかれています。

一言で言えば手と足をもがれた状態の石破首相であり、国会運営は調整色がかつてないほど強く出てくるでしょう。その場合、私が懸念するのは自民党内の意見が一つにまとまるのか、であります。

個人的には今の自民党は主流派と反主流派(今となってはどっちがどっちという感じもあるのでAチームとBチームとか、強硬派と軟弱派といったほうが良いのかもしれません。ちなみに「軟弱」という表現は幣原喜重郎元首相が戦前、外務大臣時代に欧米との摩擦を避ける外務政策を主張し、軍部から軟弱と言われ、軟弱外交の代名詞となりました。今回は野党に寄り添う姿勢を見せるのが軟弱派、強気の外野席が強硬派になりそうです)が完全に分離されており、各々の政策論争というより自民党内部の軋轢が邪魔していく状況に見えます。よって自民党内強硬派が軟弱派の意見を受け入れず、党内で激しい論争となる可能性があるかもしれません。

ただ、石破氏には一部から待望論がずっとあったことも事実であり、総裁選の際に石破氏のハネムーン(100日間は政策運営を批判せずにみること)に期待しましたが、8日間で解散に踏み切り、第一次内閣では新大臣らは名刺を配る余裕すらなかったと思います。ついては長く、政治空白ができたもののようやく始動するわけでこれから約3か月間は様子を見たいと思います。

国内政治の予定としてはこの3か月で通常の案件として最大なのが25年度予算成立であり、2月下旬ぐらいまでに通過させる必要があります。予算では防衛費、社会保障費の扱いが論点になるのでしょうか?また国土強靭化政策において能登半島震災の教訓がどのように生かされるのか、また少子化が進む日本において地方創生は一歩誤れば竹下登型バラマキになりかねず、税の使い方が改めて話題になりそうです。

ところで、日本維新の会の党首選の動向が気になります。私の予想では吉村氏が知名度と実績から当選する可能性が高いとみています。すると49歳。山本太郎氏と同じです。玉木氏が55歳でいわゆる新進系の政党に若さを感じています。政治のリーダーの世代交代が進んでいるのではないかという気がしてならないのです。立憲も野田氏の今回の登板は私から見ればロングリリーフで本質的には党内体制立て直しが終われば野田氏がいつまでものさばるべきではない気がします。同様に石破氏も私から見ると昭和の古いおっさん型で野田氏、石破氏両名とも67歳です。政治リーダーが10-15歳ぐらい若返ると若い人たちの興味も加わるだろうし、政策論点が変わってくる可能性はあります。

外交に関しては早速南米ペルーで開催されるAPECで強烈な洗礼を受けます。バイデン氏に習近平氏らそうそうたるメンバーが集まるなかでどれだけ存在感を見せることができるのか、注目しています。個人的には習氏は石破氏に接近するかもしれないとみています。自民党軟弱派であれば石破氏が強硬派を説得して中国に利する形にしてほしいと望むでしょう。一方、韓国の尹錫悦大統領とどこまで突っ込んだ、つまり腹の内まで見せながら日韓問題に踏み込めるかが勝負となります。非常に高いハードルだし、相手方も様々な探りを入れてくるはずです。それに屈しないわかりやすく、明白なやり取りをすることを望みます。

100日のハネムーン期間はメディアも含め、ある程度大人の姿勢で報道に臨んでもらいたいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年11月12日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。