「ジャパンクオリティー」に対する海外での圧倒的なリスペクト

衰退する日本経済ですが、メイドインジャパンの商品に関しては、海外での信頼感は圧倒的なようです。

フィリピンの最高級商業エリアであるボニファシオ・グローバル・シティには野村不動産が建設したシーズンズという高級コンドミニアムがあり、低層階と地下には三越が出店しています(写真)。

シーズンズは和のテイストを前面に打ち出し、4つのタワーの名称をハル、ナツ、アキ、フユと名付けています。畳の部屋やウォシュレットなどを取り入れ、「ジャパンクオリティー」を前面に出すマーケティングで大成功しました。

販売した3つのタワーは完売し、価格も大幅に上昇しています。

地下の三越の食品売り場に行くと、日本のデパ地下と同じような美しいレイアウトで商品が販売されています。

魚介類を販売しているフロアにも、新興国特有の匂いは全くなく、清潔感に溢れています。

価格は日本のスーパーの約2倍程度。日本人にとってはかなりの高価格ですが、地元のフィリピン人の富裕層には、その品質が高く評価されています。

なぜ、これだけ高品質の商品を作ることができ、フィリピンだけではなく、世界各国から賞賛されている日本が、経済的には衰退していくのか?

その原因には、職人気質で良いものを作ることにこだわりすぎて、商人気質のビジネス感覚に弱い日本人の商売下手があるような気がします。

コストを下げて収益性を上げるとよりも、品質を重視し、顧客満足度高めることに注力する。

それ自体は悪いことではありませんが、スピード感や変化に対する対応力が弱く、変化が激しいビジネス環境では、対応が後手に回りがちです。

また、良いものを作れば売れると言う発想だけではなく、顧客への的確な情報提供を行うマーケティングも必要です。

自分が納得できる商品をじっくり作っていくようなやり方だけでは経済成長に限界が出てしまうのです。

ユニクロ(ファーストリテイリング)のような会社は、ジャパンクオリティーを維持しながら、グローバルに成長を続けています。

つまり、職人気質と商人気質は相反するものではなく、両立できるものなのです。

ジャパンクオリティーを維持しながら商人気質にも溢れた日本企業がもっと出てきて欲しいと思いました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年11月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。