黒坂岳央です。
筆者は過去、何度か保存先メディアの故障で大事なデータをなくした経験があり、そのたびに地団駄踏んで悔しい思いをしてきた。現在は仕事で大量のデータを扱っており、データの長期保存についてはかなり慎重に行っている。
特に昨今はランサムウェアやウイルス感染のリスクがあり、大事に保管していてもネット経由で暗号化や破壊されてしまう可能性もある。そこを踏まえて管理が必要だ。
クラウド保存を過信してはいけない
「クラウドならデータ保存は大丈夫!」そう考える人は少なくない。だが、過去に大手IT企業でクラウドに保管されたデータに危機が起きた事例がある。
昨年、デスクトップ版Googleドライブの多数のユーザーから「数カ月分のファイルが突然消えた」との報告があがり、その対応に追われるという事故が起きた。
その後の復旧プロセスにおいて、Googleはデスクトップ版ドライブの最新バージョン(85.0.13.0)を提供することで、「バックアップからの復元」機能を使用して失われたファイルを復元できるようにした。しかし、一部のユーザーからは一部のファイルが復元されないという報告も上がっている。特に以前に同期済みのファイルに関して完全な復旧が難しいケースがあるようだ。
また、Microsoftも同年、大規模障害で最大5時間を超えて同社のサービスが利用不可能になった事例もある。
多くの人がクラウドサービスでのデータ保存に絶大なる信頼を置いているが、実際のところこうした米国ITテック企業は「データの保護」は責任範囲外としている。Googleは上述のデータ消失事故時のコメントで「重要なデータは分散して保存して」と呼びかけている。
データは分散保存が必須
「データは分散保存」これはWindowsが多くの人の手にわたるようになった90年代から、令和の現在までずっと続くデータ保存における本質だ。一切の例外はない。まずは保存メディアの特性を理解する必要がある。
HDD…堅牢な保存先として知られるが、物理的な故障に弱い。
SSD…通電のない期間が長期化するとデータ消失のリスクが高まる。
クラウド…提供元企業と運命共同体。
レンタルサーバー…常にハッキングリスクがつきまとう。
ローカルストレージ…オンライン経由でのウイルス感染で消失リスク。
光メディア…経年劣化で読み込み不可リスク。
あらゆるメディアはそれぞれ、異なる脆弱性を持っている。外付けHDD/SSDを買って保存しても、ある日突然読み込みできなくなることはごく日常的にある(何度も体験)。「一度焼けば100年は持つ」と言われるDVD-Rも20年くらい経過すると読めないディスクが出て来た。
データが読み込みできなくなるのに「予兆」はない。つい1分前に通常稼働していたデバイスが、スイッチを切ったように突然寿命を迎えることが多いのだ。いきなりデータが消えてから慌ててもどうしようもない。
最強のデータ保存方法
筆者がやっている最強のデータ保存方法をお伝えしたい。
まず、外付けHDDとSSDの二重保存である。年に1-2回通電するようにし、その際はウイルス感染防止のため、なるべくネットに接続しない機器からのアクセスが望ましい。
だが、これだけでは火災や地震などの災害で同時に失うリスクがある。そのため、同じものを物理的に遠方の実家などに保存しておくとベストだ。
そして当然クラウドにも保存だ。クラウドのメリットは国内の災害に強く、ローカルストレージと違って、OSがウイルス感染をしてもデータ汚染のリスクが低い。
◇
正直、ここまでやればデータ消失のリスクは極めて低い。面倒ではあるものの、データというのは消えてしまうと復旧はほぼ不可能である。一部は取り出せても、すべて復元することは現実的ではない。そのため、普段から「消えても大丈夫な状態」にしておくことが肝要だ。
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