兵庫県知事選挙が依然として新聞を騒がしている。朝日新聞は記事「斎藤知事側、選挙で企業に金銭「認められたもの」 SNSでの指摘に」を11月22日に配信した。
斎藤氏の選挙活動をめぐり、広報に携わったとされる企業に陣営が違法な金銭を支払ったのではないかと、SNS上で指摘が相次いでいる。
総務省によると、インターネットを利用した選挙運動への対価として報酬を支払うと、公職選挙法の買収罪が適用される可能性がある。
という記事だ。
このように、適法か違法か不透明な支払いについて指摘する記事を出すことはよい。しかし、同時期11月21日に増山誠兵庫県議会議員(日本維新の会)がXにポストしたことに関する記事は見当たらない。このポストは、他紙でも同様に「報道しない自由」の対象になっている。
しかし、その内容は深刻である。
斎藤知事当選後、県職員OBが早速、斎藤知事の失墜を画策している。県職員OBの文書には、「今後とも彼(斎藤知事)の失墜を目指してさて何をやったらいいかを模索したいと考えようと思っているところです。」とあるという。
念のために、ポストとポストに添えられた文書の画像を、この記事に写しておく。
もし、県職員OBの中に知事失墜を画策する勢力があり、その勢力が過剰に知事批判を展開しているとしたら、報道する価値は高い。これについて「報道しない自由」を行使するのは、この勢力と繋がっているからと疑われても仕方がない。
速報性で後れを取る新聞に残されているのは、事実を究明して報道する調査機能である。新聞は、増山ポストを報道しないで、そのチャンスを捨てようとしているのだろうか。
前の記事「兵庫県知事へのメディアスクラムは止められなかったのか」にも書いたが、今こそ、業界は『新聞倫理・記事向上機構』を設立し、読者からの批判を受け付け、報道の中立性と公平性を高めていくのがよい。