ビジネスの現場は常に変化しています。不安定な時代を勝ち抜くためには、常識的なことや思い込みの壁を取り払わなくてはいけません。
これは比較的高収入を得ている人が陥りやすいワナです。自分は何でもできると錯覚することがあります。それはまったくの幻想であり、勘違いです。どれだけ年収を上げようと、すべてのことを完璧にこなすことなどできないからです。
営業トップの成績で年収が高くとも、経理についてはまったくの素人だという人がいます。しかし、営業トップでも経理や管理、総務のことも、ある程度、知っておく必要があります。自分が実務として行うのではなく、知識を最低限持っておくことが大切だということになります。
会社にいるなら、給料をもらいながら専門家の情報を無料で学ぶことができます。社内にはさまざまな部署があり、その分野の専門家が働いています。身近に聞ける人がいる間は、聞かなければ損です。彼らは、その分野の専門家です。
会社を辞めてから同じことを学ぼうとすれば、莫大な費用がかかることを忘れてはいけません。これは、当時の会社の人にお金を払うということではなく、経理や税務のことであれば、税理士さんにお金を払って教えてもらうことになるということです。
社内交渉には、日頃の人間関係が大切になります。日本的にいえば根回しになります。優秀なビジネスパーソンには、根回しや用意が周到な人が多いと思います。
日露戦争の際、伊藤博文が、米国のルーズベルトの元に同級生を向かわせて、仲介の「根回し」をした例もあります。国際紛争の場においても根回しは効果的です。
根回しにかかる手間や労力は必要コストと考えなくてはいけません。キーマンにお伺いをたてることは必要コストです。日本の社会で、完全にオープンで公平なものなどは存在しません。もし、根回しを拒否されたら、まだ機が熟していないことになります。
根回し可能なら、あとは流れに任せてしまうこと。いずれ吉報が届くことでしょう。
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
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