暗号資産の流動性リスクは意外に高い

一般に実物資産に比べ金融資産や暗号資産は流動性が高いと言われています。流動性が高いとは、資金が必要になったときに現金化しやすいことを示します。

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ところが、今回暗号資産XRPを国内の暗号資産取引所から出金しようとしたところ3日近く経っても「お手続き中」の表示が出たままで、目処が立たない状態になっています。

今回は10,000XRPを知人のアカウントに出金依頼したのですが、口座間違いを防ぐために最初に最低金額の20XRPを送金しました。

こちらの送金は問題なく1時間足らずで反映したのですが、その後に残りの9980XRPの出金依頼を行ったところ、全く反応しなくなりました。

そして、翌日の早朝に暗号資産取引所からメールが入り、送金先の氏名、関係、ウォレットの種類、送金、目的等に関しての質問に回答するよう依頼がありました。

こちらも既に回答済みです。

そもそも20XRPの時には問い合わせもなくスムースに出金できたのに、金額が大きくなると処理プロセスが変わってくる。その基準も開示されていませんから恣意的に変えられてしまいます。

出金に時間がかかるのは、マネーロンダリングなどの不正がないかを確認するのが目的だと思いますが、それにしても、時間がかかりすぎではないでしょうか?

今回利用した国内暗号資産取引所だけではなく、もう一つの大手の取引所でも以前同じようなことがありました。

顧客保護と言いながら、監督官庁からの規制で顧客の利便性が後回しにされている。

このような事態があると、国内取引所にある暗号資産の流動性に対する不安が高まります。預け先のさじ加減で、資産が引き出せないリスクがあると言うことです。

出金にもたついている間に、暗号資産の価格は大きく変動してしまいました。今回は災い転じて福となすでしたが、逆のパターンもあり得る訳で、何らかの対策を考えなければいけないと思っています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。