先ほど日本からカナダに戻って来たのですが、今回日本に到着した際の訪日外国人の入国審査の行列は相変わらず強烈でした。日本人は顔認証なので入国審査は1分程度ですが、外国の方はなかなか大変だと思います。おまけに外国人御用達JRパスを成田空港で変えようものならこれまた長蛇の列が待ち受けます。東京につく前にくたくたでしょう。
私は普段は京成スカイライナーに乗るのですが、今回はたまたまスカイアクセス線経由の特急が来たのでそれに乗ったら大きなスーツケースを持った外国人でごった返して「足の踏み場もない」というのはこういうことかと思いました。スカイライナーは1280円かかりますが、アクセス線経由の特急なら特急料金はいりません。節約旅行を楽しむ方々もまた多く、この電車がスカイツリーや銀座、新橋方面に乗り換えなしで行くこともあるでしょう。
私の場合、羽田と成田どちらも使うのでそれぞれに長短を感じます。私は羽田に行くのも成田に行くのもほぼ同じ時間です。感覚としては羽田が近いように思えるのですが、実は品川から京急に乗ると割と時間を食います。また山手線を半周しなくてはいけないので成田と日暮里を36分で結ぶスカイライナーを使えば成田は時間的には遠いわけではないのです。
日本政府は訪日外国人を今より3ー4割増やそうとしているのですが、羽田の空港機能はもう手一杯だと思います。一方、成田空港は正直、古さを感じさせてしまうのです。というより無理して拡張させてきたパッチワークのようなところがアリアリでもうそろそろ全面リニューアルをしないと機能的にも太刀打ちできないのはないかと思います。
今般、韓国の仁川空港が7年かけたリニューアルを終え、建物の広さは倍増させています。アジアのハブ空港争いはし烈な競争になっていて、1位はクアラルンプール国際空港、2番がソウル仁川空港、あとはシンガポールチャンギ、香港の順でしょうか。その後が東京(羽田、成田)です。羽田は空港施設のランクは高いですが、国内線が主流ですからハブ空港ランクでは下がってしまうのです。
成田の問題点はたくさんあります。第一ターミナルの構造は基本的に1978年開業当時から変わらず、第一と第二を結ぶアクセスは構造が複雑になりすぎて時間がかかる、空港の人員収容キャパが全然足りず、搭乗口前の待合場所はぎゅう詰めで座るところにありつけない、土産物屋は長蛇の列、飲食店も数が足りず、税関の自動手続きも今一つで従来の人がいるところの方が早かったりする、制限区域から外に出たところの狭さと人の混雑具合には閉口…。もちろんもっと細かい不満もあります。トランジットの客を喜ばせる仕組みも欲しいところです。
成田と都心のアクセスについては距離的にも時間的にもJRより京成電鉄に分があるのですが、スカイライナーが京成上野というしょぼい隔離された駅に着くので実質的に日暮里が乗り換え拠点。ところがその日暮里駅も狭いのです。
数年に一度程度しか利用しないなら文句はないのでしょう。また観光旅行する人にも時間や利便性は二の次でしょう。しかし、頻繁に利用する人にとってハブ空港の利便性は極めて重要な課題であるのです。また成田は北米の主要都市に最も近いアジアの主要都市であることを踏まえ、もう少し成田空港の価値を国際基準に引き上げるべきだと思います。
実際、成田は3本目の滑走路を2028年に向けて整備します。またターミナルの刷新に関する検討も開始されています。それは言うまでもなく、空港キャパの大幅見直しということでしょう。またご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、成田空港線は単線なのです。JRと京成が一本ずつ分け合っており、双方の軌間が違うため、乗り合わせができないのです。これがJR、京成共に運行本数を画期的に増やせない根本原因の一つでもあります。今の時代に国際空港に通じる線路が単線なんて信じられないでしょう。そして例の幻の成田新幹線用高架橋残骸もしっかり残っております。
確かに成田空港は反対運動が酷く、日本の歴史であったと思います。私が成田に住んでいた時、反対派の拠点を通って通勤しており、当時空港の仕事も請け負っていたのでそりゃもう厳戒態勢そのものでこれは何なのだろうというのは懐かしい思い出です。
訪日外国人を増やすのは結構、だけどその分しっかりインフラも整備頂き、政府としてももっと後押しをすべきだと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年12月20日の記事より転載させていただきました。