「人生は金じゃない」はお金を手に入れてから言わないと格好悪い

日本でも経済的格差が広がってきたせいか、お金に対する関心が高まっています。

その反動もあってか、お金に対して嫌悪感を示す人がいます。元々日本人はお金に対してネガティブなイメージを持っていて、いわゆる「清貧の思想」が大好きな人が多いのです。

「お金がなくても家族が仲良ければ幸せ」「お金があっても幸せにはなれない」といったお金を否定するようなコメントをしている人がいますが、人生の価値基準は人それぞれ。自分の価値観を持つのは自由ですが、それを人に押し付ける必要はありません。

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そしてもう1つ言っておきたいことは、少なくとも自分がその環境になったことがないことにコメントするのは格好悪いからやめたほうが良いということです。

お金の話に関して言えば「お金があっても幸せにはなれない」と言うのであれば、自分が十分なお金を手に入れた上で幸せになれなかった実体験をベースに発言すべきです。

自分が人生に必要なお金を手に入れたことも無いのに、お金があっても幸せになれないかどうかを語ることはできないからです。

これはお金に限りません。

「東大卒にはバカが多くて使い物にならない」と言いたいなら、まず東大に入学してから言うべきです。私も学歴と能力にはそれほど強い相関は無いと思いますが、自分が行ったことが無い大学についてわかったように語るのは恰好悪いと思うのです。

資産運用でも同様です。「カンボジア不動産投資は危険」とカンボジア投資はおろかカンボジアに行ったことさえ無いお金の専門家が語っているのを聞いたことがあります。投資したことも行ったことも無いものに対してネガティブな発言をするのは、やはりやめた方が良いでしょう。

私も「子供がいても不幸な家族はたくさんいる」とは発言しないようにしています。なぜなら私には子供がおらす、子供を持って幸せになれるかなれないかを語れる人生体験が無いからです。

何かに対して否定的な発言をする時には、その発言の根拠を実体験として持った上でするべきです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。