年利15%のクリスマスプレゼントは投資詐欺?

私が金融資産の運用にメインで使っているのは、証券はマネックス証券、銀行は新生銀行です。新生銀行は海外送金の手続きが煩雑で、最近はSMBC信託銀行を使うことが多くなりました。ただ月に10回までは振込手数料無料なので、国内の振込には新生銀行を引き続き活用しています。

その新生銀行はSBIグループに買収されて、SBI新生銀行となりました。そして打ち出してきたのが、普通預金金利0.3%優遇というSBI証券と連動したサービスです。

SBI新生銀行の口座保有者がSBI証券に口座開設し、口座振替契約を登録するだけでダイヤモンドステージの優遇プログラムが受けられます。

普通預金の金利優遇だけではなく、提携ATMからの引き出し手数料の無料(回数制限なし)、他行振込月10回まで無料というサービスです。

私はNISA口座をマネックス証券で開設していますからSBI証券で取引をする予定は今のところありませんが、金利優遇を受けるために口座開設することにしました。

更にSBIはグループの投信会社から「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」(通称SBI・SCHD))を販売開始しました。これは楽天証券で販売されている「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」(通称:楽天SCHD)の類似商品で、アメリカの高配当株式のインデックスに連動する投資信託でインデックス投資家の間で人気となっている商品です。

このようにして同じグループの中で「銀行・証券・投信」を連携させて、金融取引の顧客を囲い込む。金利を上げて、手数料を下げて顧客基盤を拡大するのがSBIの戦略です。

日本の政策金利が上昇することで、銀行預金の金利も上昇し、金利によって顧客が銀行を選択する環境に変わってきました。わずか0.3%の金利でも1000万円なら年間3万円ですからバカにはなりません。

楽天も恐らく同じような動きを始めて、楽天銀行での金利優遇などのキャンペーンで追随するのではないでしょうか?

SBIと楽天の2強と言われるネット証券の勢力図が、金融グループのネットワーク化によってさらに大きく変わる可能性が出てきました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。