「人生の生きづらさの9割」は執着を手放せば消える

黒坂岳央です。

「日本は生きづらい」という意見を非常によく見るが、実際にはアメリカの方がそう感じている人が多いというデータは見過ごされている(過去記事参照)。

理由は様々であり、病気や経済的事情など即日解決が難しいことも少なくないが、実は「解釈」で解決できるものがほとんどだと自分は考えている。

多くは「国や社会のせい」と他責にしがちだが、冷静に紐解いてみるとそのほとんどが執着、つまり自分自身が作り出していると言える。

自分自身、人生前半は非常に人生の生きづらさを感じていたが、執着を手放してからとても生きやすくなったと感じる。これ以外にやったことはないのに、まるで異世界にやってきたように人生は楽になった。その自己体験からも件の主張をしたい。

Moostocker/iStock

我々はあまりに執着していないか?

仕事柄、ビジネスだけでなく人生相談もよく受けることがある。

「もっと収入がほしいのに会社がケチであげてくれない。評価してくれない」
「このくらい言わなくてもわかってほしい。家族なのだから」
「何者かになりたいが、SNSで注目されない」

実に様々な悩みがある。相談を受ける時は相手を否定せず、できるだけ共感を示しつつも「執着の度合いを下げていくと楽になりますよ」と答えるようにしている。自分自身、彼らの立場に置かれれば同じことをする。

こうした悩みに共通するのは「相手への期待値が高すぎる」ということなのである。

・収入が低い…相手から見て自己評価が高すぎる可能性はないか?収入を高める手段は昇給ではなく、転職を検討できないか?

・言わなくてもわかってほしい…家族でも別個体の人間であり、双子でも親子でも性格は全く異なる。気持ちは言語化して伝えなければわかってもらえないのは普通では?
・何者かになりたい…特別な存在になるには、特別な努力や実績が必要。非凡を望み、凡庸に生きる矛盾の可能性はないだろうか?

期待してそれが叶わないと怒る、というのは執着によるものだ。相手を信用し、尊重もするが、期待は一切しない。これは矛盾せず成立する。そして執着の解消には期待を捨てることである。

期待をやめたら人生は生きやすくなる

昔、筆者はよく怒っていた。すべてにおいて相手への期待値がものすごく高く、「こんなにやっているのだからわかってほしい。認めてほしい」という具合に。

だが、今はまったく期待はしない。相手は相手の論理や合理性で動いており、まず彼ら自身を優先するのが普通。だから自分のことはすべて独力でやる、という思考である。

収入を高めたければ、黙って昇給を期待するのではなく転職や独立、投資をする。

自分をわかってほしいなら、まず相手を理解した上で交渉をする。

何者かになりたければ、リスクを取り、勤勉に学び、そうした努力を年単位で継続する。非凡な人生を続ければ、やがて非凡な事が起きる。

結果はすべて自分次第であり、周囲には期待しない。そうすることで腹も立たない。思いがけない親切に対して「このくらいやってもらって当たり前」ではなく、「嬉しい!ありがとう!」と素直に喜べる。

執着は必ず自分自身が作り出している。そして執着しても幸せになることは難しい。最初は「ありがたい」と思っていても、やがて「このくらいやってもらって当たり前」に必ず変わるからだ。執着を手放せば人生はその日から楽になる。

本質的に人間は一人で生まれ、一人で死んでいく。自分の人生を作るのは最初から最後まで自分だけである。そして思いがけない周囲の助けがあるならば、その時は目一杯感謝の気持ちを伝え、さらに自分が幸せになったなら次は周囲にお返しをしていく。これで十分だろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。