東京23区の家賃は2025年も上がり続ける

日本経済新聞電子版によれば、2024年11月の東京23区の賃貸マンション平均募集賃料は、専有面積30~50平方メートルの物件で前月比0.8%上昇して15万4342円となりました。ちなみにこれは2022年12月から24カ月連続の上昇で、過去最高値だそうです。

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この広さの部屋は主に子供のいないカップルをターゲットとしていますが、マンション購入を諦めて賃貸派に転向した人たちが増えたことで需要が高まったのが原因としています。

また、このグラフには掲載されていませんが、30平方メートル以下のいわゆるワンルームマンションも前月比0.2%高と動きは鈍いものの上昇傾向となっています。

家賃は一般賃貸借では原則として賃借人が退去する時にしか上がることはありませんから、他の物価の動きに比べて変動に遅行性があります。

家賃相場全体が上昇していったとしても、それから1年から2年程度経ってから徐々に退居になった物件の家賃が上がっていくことになります。

2025年はこの家賃上昇が更に広がると考えています。特に東京23区のような都心部で顕著になりそうです。

マイホーム購入を諦めた人たちが賃貸マーケットに流れ込むこと、リモートワークから出社に会社の勤務形態が戻り、利便性の高い都心物件のニーズが高まること、そして外国人を含めた人口流入が続くと考えるからです。

もし家賃が月1000円上昇すれば、ワンルームマンションの評価額は30万円上がります。収益還元法で年間の家賃収入が12,000円上がるということは賃貸利回りが4%として30万円と計算できるからです。

日銀の金融政策の変更によって政策金利が引き上げられるという見通しが広がり、ローン金利の上昇懸念から不動産投資に二の足を踏む人が増えていると聞きます。

確かに金利上昇は不動産投資にはマイナスですが、インフレによって家賃が上昇し物件価格の評価が上昇していくのはプラスの影響です。またインフレになればお金を借りておくのは有力な資産防衛策と言えます。

私は東京の都心部の物件に関しては、これからも価格は下がりにくいと考えています。少なくとも家賃が上昇していく状況であれば、金利が上昇したとしても金利差(イールドギャップ)からの収益は確保できます。

金利上昇の動きに過剰に反応して、不動産投資のチャンスを逃すことがないようにした方が良いと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。