一年の初めとなれば様々な抱負がありそうです。その中で多くの方が口には出さなくてもずっと思っているのが「お金」の話題ではないでしょうか?増やしたいと思っている方が大半だと思いますが、その理由を聞けば家族で年2回ぐらいは海外旅行に行きたい、旨いものをたらふく食いたいというがっつり消費型から老後の蓄え、子供の教育費など様々な事情が見えてきます。
先日、日本通のカナダ人と話していた時、面白いことを言っていました。「日本は安く済ませるか、ハイエンド(ゴージャス)に生きるか、二極化している」と。安く済ませるならコンビニ飯や牛丼ならば格安ですが、日本で人気が高い食べ放題(ビュッフェ)でも高級ホテルならおひとり様1万円也は普通になってきました。
日本人のハワイ旅行好きは相も変わらずですが成田空港でこれからハワイに向かう旅行客に「あなたのスーツケースの中身を見せてください」という企画があればかならず出てくるであろうモノが缶詰、真空パックのライスといった食材で彼らはホテルの自室で缶詰とライスをほおばりながら「ハワイはいいねぇ」と話をするわけです。私にはそのアンバランスさがよくわからなくなります。
80年代初頭、日本でルイ ヴィトンの弁当箱型バックが爆発的流行をし、パリの本店には日本人を乗せた観光バスが大挙して押し寄せたことがあります。実は私も83年ごろ、人に頼まれてパリ本店に弁当箱バックを買いに行ったのですが、そこはルイ ヴィトンの格調高い雰囲気とはまるで違い、百貨店の大創業祭の雰囲気でありました。当時、フランスの新聞には押し寄せる日本人のハイブランド買い物ツアーに「あの人たちはハイブランドを持ってドアが閉まらぬほど込み合う通勤列車に乗っている」と皮肉めいた記事が出たことがあります。(私は日本語訳を拝見しました。)要はフランスの人はルイ ヴィトン=運転手付きのクルマに乗るような人というイメージを壊されたことに皮肉を言ったわけです。
日本の消費文化というのは非常にメリハリが効いているというか、背伸びと緊縮のコンビネーションだと思うのです。金がない、と言いながらあるところでは大盤振る舞いをする、それに対して各々が理由付けをして消費を重ねるのです。「今日は〇〇だから、ええーい、使っちゃおう」っていう具合です。キャバクラでシャンパン タワーするのもその流れ。この感性は海外にはあまりないと思います。
一年の計でマネーについてトークする場合、90%はいかに殖やすか、という話だと思います。私はまず、自分の消費癖をみることから始めるべきだと思います。これは節約をしようという話ではなく、自分の収入に見合うバランス消費を意識すべきだと考えています。
先日、私は飛行機のビジネスクラスには乗らないが電車のグリーン車には乗る、と申し上げました。理由はエコノミークラスの最安値の4倍、あるいは価格差30万円をビジネスクラスに払う意義があるのか、という点で私はNOだと考えたのです。ビジネスは疲れないよ、といいますが、それはセールストーク。時差をいかに調整するかが本質的に求められることだし、ビジネスクラスの食事とエコノミークラスのそれとの原価の差はせいぜい2-3倍で数千円程度です。(私は以前、飛行機のケータリング事業を担当したことがあるので価格差は知っています。)わずかのサービスの違いに対して100倍のお金は払えない、ということです。こういった意識を消費活動の中ですることが大事だと思うのです。
殖やし方については人ぞれぞれの性格に見合ったものにするしかないと思います。大きく増やしたいならリスクは有れど株式などの投資だし、1円たりとも損はしたくないなら定期預金でしょう。大きく増やした人もちょっぴり増えた人も自分で選んだ手段だけに1年後、3年後、5年後にそれぞれ満足なり納得なりしているはずです。あの人は2倍に殖やしたということに嫉妬すらしないでしょう。
つまり自分が最も心地よい手法を選べばよいのです。家庭内でご主人が投資したい、奥様が損するから嫌だ、という意見の相違がある場合は一部を投資に回し、「損をしたらご主人が損失補填する代わりに想定より増えた分は自分の小遣いに使う」という約束をするのもありです。
まずはマネーと親しくなること、そして殖やすこと以上に使うことへの気遣いもお忘れなくと申し上げます。
ちなみに私の25年の目標はリターンで15%を目指します。市場が荒れ狂わない限り比較的たやすい目標設定かと思います。昔のように5割増やすといった無理な目標を設定しないことだろうと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月6日の記事より転載させていただきました。