ずっと成長し続ける環境の作り方

黒坂岳央です。

人間は環境の生き物、良い環境に身を置くと良い思考が生まれ、行動、そして習慣へとつながっていく。生まれ持った才能や意識の高さばかりが取り沙汰されるが、自分は「理想の環境を整えること」に勝る戦略はないと思っている。

では理想の環境とはなにか?仕事について言えば、「成長し続ける環境」で間違いないだろう。ではどうすれば成長し続けられるのか?これについて言語化したい。

Eoneren/iStock

歴の長さは実力を保証しない

多くの人は「経歴が長い=プロフェッショナル」と考えてしまいがちだ。確かにそうした側面もゼロではない。だが、働いている環境によっては経歴の長いからといって、必ずしもその人の実力を表すわけではないのだ。

単に同じ場所、同じ仕事、同じ作業を何十年も繰り返しただけなら、「その手順だけ」は熟練してスムーズになるかもしれない。しかし、本質的な成長は何も起きていない、ということが本当によくある。

かつて筆者がサラリーマンの頃、新しい会計システムを導入するプロジェクトに携わった際は、現場のベテラン社員から猛烈な反発を受けた。彼らから否定する理由を色々と言われたが、とどのつまり「変化したくない」ということに尽きる。

ずっと同じ仕事を長くやっていると、極端に変化に弱くなる。ただ長くやっていれば良いというものではないのだ。

成長し続ける環境とは?

ではそろそろ本題に入ろう。結論、それは「新しい仕事、新しいテクノロジーに触れる」に他ならない。

筆者は外資系企業で国際経営の部署に行った時、すさまじい変化に面食らった。同僚も上司もほとんどが外国人で、Eメールも文書作成もプレゼンも会議もすべて英語。使用するシステムも見たことも聞いたこともないもので、使い方もわからない。ビジネスコミュニケーションをしても、外国人はなかなか思うように動いてもらえない。

あの時の初年度の成長速度は、我が人生で確実に上位にランクインするレベルだと記憶している。

毎日、会議やプレゼンがあるが、資料を見てもよくわからない部分が多く、時には徹夜して資料を読み込んだり、システムを触って慣れた上でギリギリ準備が間に合って寝不足のままプレゼン、ということもあった。朝オフィスに行くと、自分と同じように必死に仕事をしていた同僚は机に突っ伏して寝ていた事もあった。

しかし、1年、2年と時間が経過すると段々余裕になってくる。残業せずに仕事が終わり、雑談や外国人に誘われてパーティーに参加する余裕も生まれてくる。振り返ると、その頃には自分の成長は止まっていたのだ。

新しい仕事をする勇気

独立後は成長し続けることが難しくなる。誰からも何も言われないし、自分の得意なことだけをやっていれば、楽に収入も確保できる。多くの人がここに陥る。

だが、ぬるま湯に浸かったままでは気楽ではあるが成長はない。それ故に新しい仕事や新しいテクノロジーには、たとえ気が進まなくても積極的にチャレンジするべきなのだ。

最近は生成AIが話題になっているので、こうしたものを片っ端から課金して毎日無理やり使う。その他には、採算をある程度度外視して未知の仕事を受けてみる。

こうすることで必死に勉強しなければ先に進めない環境を作ることができるので、いやでも成長するのだ。筆者は最近、新しい仕事を受けて挑戦している。取引先にはダメ出しを貰うこともあり、時にはかなりの悔しさを感じることもある。慣れた仕事なら誰かにダメ出しをされることはほとんどない。

しかし、これでいい。こうでなくてはいけない。悔しいからこそ、必死に勉強をしたり反省をしながら前進する。それが自分の成長を促してくれる。

レベルが99にカンストして成長が見込めないゲームをプレイしても何も楽しくないのは当然だ。そんな時は別の新しいゲームをレベル1からプレイすればいい。伸びしろしかないので毎日が刺激的で楽しくなる。人によっては従来の仕事で得たスキルを少し活用できるので「強くてニューゲーム」になる。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。