フジテレビ広告中止の余波でテレビCMの「費用対効果」に注目が集まる

フジテレビのスポンサー企業が相次いでCM放送の見合わせを決定し、ほとんどのCMがACに差し変えが行われています。意外なことに、この対応によってCM停止が短期的な売上への影響がないことが明らかになりつつあります。

今回のフジテレビの対応に、視聴者だけでなくスポンサー企業も落胆しており、現在は「CMの出稿停止」段階ですが、調査結果への不信感が残れば「CM撤退」に発展する可能性もあります。そうなれば、今後のフジテレビの広告収入に大きな影響を与えることが予想されています。

フジ「相次ぐCM出稿停止」よりキツい最悪の展開 東洋経済

フジテレビジョンHPより

一方で、フジテレビが自社広告をACジャパンに切り替えた後も、POSデータに大きな売上変動は見らなかったということです。これにより、テレビ広告の費用対効果が改めて問題視され、業界全体に影響を及ぼす可能性が指摘され始めています。

テレビ業界は、今回のフジテレビの問題をより深刻に受け止めるべきです。問題は、スポンサー撤退の動きがフジテレビにとどまるのか、それとも業界全体に波及するのかという点にあります。

これまで効果測定が難しいながらも商習慣として続いてきたテレビ広告モデルに対し、今回の騒動が大きな変革の契機となるかもしれません。

当然ながら、反論もあります。CMの費用対効果についての議論は必要ですが、ここ数週間のCM変更によるPOS(販売時点情報管理)データを見ても、正確な効果を判断することは難しいと思われます。

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今回の問題を契機にテレビCMの費用対効果にも改めて関心が集まってしまいました。フジテレビによると、テレビCMは直接的な販売促進にはつながりにくいものの、ブランドイメージ向上や求人活動の一環として一定の価値があるとしています。

テレビCMの広告効果とは。費用対効果を高める3つのコツ フジテレビ

しかし、そもそもテレビCMの費用対効果が見合わず、撤退のタイミングを見計らっていた企業が多いとすれば、問題が解決してもCMの出稿は容易には戻らないかもしれません。

同社の2024年4~9月期の広告収入は712億円でしたが、スポンサー離れが続けば年間700億円規模の減収につながる可能性があります。すでに2~3月分の放送収入が失われることで約240億円の影響が見込まれ、さらなる打撃も懸念されています。中居くんの軽挙妄動と文春「誤報」によって地獄の窯の蓋は空いてしまったのでしょうか。

ただし、これがますますテレビ局の劣化につながらないか心配なところではあります。

インターネット広告の普及に伴い、テレビCMの市場規模は縮小傾向にあり、各社の広告戦略の見直しのきっかけになるかもしれません。