舌打ちする心理と一発でそれを止める方法

黒坂岳央です。

世の中には気軽に舌打ちをする人がいる。我が国においての舌打ちは自分の不快感を相手に表明するものに他ならないため、明らかにやるべきではない。伝えたいことがあるなら、相手に堂々と言語化するべきだろう。

正直、公共の場で舌打ちをしてしまうのは大変危険であり、された方の印象は大変悪くなる。また、相手から舌打ちをされてもどう対応していいか分からない人もいるのではないだろうか。

本稿は筆者が舌打ちをする人の心理と対応策について考察する目的を持って書かれた。

rudall30/iStock

舌打ちは攻撃ではなく反撃

舌打ちは主に2つに分類することが可能で、1つ目は反射的なクセ、もう1つは相手への反撃としての意味を込めて行われる。

前者は一人でいる時もする。パソコンで作業中、うまく動作しない時などに出すイメージでこちらはそれほど問題はない。なぜならこういう人は人前で出すのはまずいと理解しているからである。

問題は後者で、こちらは相手から自分に対して不愉快に感じる何かをされた時に舌打ちをする。よくある話が接客バイトにおいてお客さんの対応に苦慮したとか、その逆にお客さんからされたというものである。

また、オフィスワークなどでは上司が部下のパフォーマンスを見て「チッ(使えねえな)」といったニュアンスを込めて行うこともある。

いずれにせよ、舌打ちは先制攻撃ではなく、相手の言動で不快感を獲得した事による「反撃」として行っているのだ。

リスクなしで反撃したい心理

しかし、考えてみればおかしな話で本来、相手によって不快感にされたなら堂々と主義主張を伝えればいい。だが、そうすることをせず舌打ちを使うのはなぜなのか?それには2つの理由がある。

1つ目は言語能力である。語彙力がアンガーマネジメントと密接に関われていることは周知の事実で、表現力、伝達力がないと自分の気持ちを相手に伝えることができないストレスで、言葉の代わりに手が出てしまうという話だ。

舌打ちもいいにくい相手でも、言葉を尽くして丁寧にいえばたとえ相手が顧客でも伝えることは可能なはずだ。しかし、そうしないのは言語能力が不足していて、とはいっても相手に暴力を振るうことができないので「舌打ち」で反撃している。

もう1つの理由はリスクヘッジである。拙い言葉で相手に意見を伝えるのは技術も度胸も必要だ。しかし、舌打ちをすれば「自分は不快感である」ということを相手に伝えることができ、さらに直接手を出すような明確な暴力カテゴリーにないためにされた側も再反撃しづらい。つまり、低リスクで不快感にした相手に反撃をする手段として彼らは用いている。

舌打ちへの有効な対処法

舌打ちをされた時、人によっておすすめする対処法は様々である。中には「舌打ちは不快なので止めなさい」と堂々と伝えて謝罪を引き出そうとしたり、喧嘩腰で迫ればいいという意見もある。

だが、個人的に最も効くのが「質問をする」と考えている。自分は実際にそうしている。以前、仕事の話をしている時に相手の欲求を飲めないことを謝罪を交えて伝えた際、「チッ」と舌打ちされて沈黙したことがあった。その時、「今、舌打ちした理由はなんですか?」と冷静に質問をした。

上述した通り、相手は自分の不快感を言語化する能力が不足しているために舌打ちをしているので、質問への回答は難しい。加えて、舌打ちという世間的に好ましくないという共通認識のある行為を指摘されているので、もはや返す言葉がなくなってしまうのだ。

この時は「ごめんなさい」という言葉が出て、その後は普通の会話に戻ったが、過去に舌打ち理由を質問して、納得感のある答えが返ってきたこともないし、相手は二度とやってこなくなった。

舌打ちは怒りの感情が表に出た状態だ。それに対してこちらも怒りで応酬するのは得策ではない。「あなたのその言い方が腹立つ!」となりかねない。

怒っている人が最も苦手なのは「冷静な相手」である。人間は怒るとIQが著しく低下するので、冷静な相手と口論しても勝ち目がないことが分かっているからだ。したがって舌打ちに怒りで反撃してはいけないし、咎める必要もない。ただ質問するだけで相手を一撃で完封できてしまう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。